ヒトの皮膚から万能細胞

 人間の皮膚細胞から他の器官の細胞に成長しうる「万能細胞」を人工的に作ることに成功したとのことだ。ひょっとすればこの発見は人類の歴史を変えていくきっかけとなっていくかもしれない

大人の皮膚から万能細胞…京大教授ら成功、再生医療期待(CNET Japan)

 すでクローン人間ということは、ずいぶん前から言われるようになっていた。細胞のコピーのようなことができれば、世代交代せずとも肉体的には同じような人間のコピーが作れるのではないかということである。ただし家畜で行うことはあっても、人間では倫理上の問題として実験はご法度とされてきた。


 今度の発見は、普通の人間の皮膚にいくつかの遺伝子を読み込ませれば、あらゆる部位の細胞に変化しうる万能細胞が作れるので、一度失われた組織でも再生させることができる可能性を示したということなのだろう。おそらくその組織の一部として移植すれば、周囲と協調してその組織の細胞として増殖して全体を再生させることができるようになるということだろう。まるでトカゲの尻尾のように、失った手足や臓器でも再生できるようになるのだろうか。そこまでいくにはまだまだ時間がかかるだろうが、神経の再生などは比較的早く可能になるかもしれない。


 SF的には、すぐにクローン人間ならぬ不老不死の人間にすることはできないかと考える人間は必ずいるだろう。早くも倫理問題がと言い出している人は、かなり先走った話を考えているのだろう。そこまで行かずとも、再生医療にしても現実になるにはまだまだ時間がかかるだろう。だが世界の注目を見る限り、これが人間の歴史を変えていくきっかけになるかもしれないという予感をしているようである。