GoogleのAdobe買収の可能性
MicrosoftのYahoo!買収の話題が続いているが、もしそれが実現したとすれば、ネット関連で買収ターゲットになる最後の大物としてはAdobeになるだろうと思われている。その可能性についての記事がある。当事者からのコメントはなく、推測だけではある。
GoogleのAdobe買収はあり得るか (ITmedia) MS、Silverlight 2のβ版リリースへ
Adobeは古くからのデスクトップアプリケーションのソフトウェアメーカーである。PhotoshopやIllustratorはじめ、Premiereなど高価ではあるがマルチメディア分野のソフトウェアとしてのブランドイメージがある。そしてPDF文書やFlashビデオの規格など、もともと作成ソフトは有償なのだが、事実上の標準規格のように定着しているのは、Microsoftのようにバージョンアップするたびにコロコロと規格を変更する油断がならないソフトに比べても安定感があるからであろう。
MicrosoftもAdobeへの対抗上、マルチメディア関連のソフトウェアをいろいろ出してきた歴史があるが、ほとんど記憶にすらない。たとえばOffice系列にPhotoshop&Illustrator対抗にPhotoDrawなんてのもあった。ちょっと使ってみて呆れてその後使った記憶がなかったが、案の定バージョンアップされずに消えてしまったようだ。Microsoft関連では、グラフィック系ソフトは何が主流なのかさえもよくわからない。あえて言えば、Microsoftで成功しているのは買収したVisioだけであろう。
Web時代になって、マルチメディア分野というかリッチメディアアプリケーションで何が主流になるかが難しいところである。デスクトップでは高価な有償ソフトウェアだったが、Webの中ではフリーソフトにならざるを得ないからである。そんな中で詳細はわからないが、MicrosoftはSilverlightなるFlash対抗のWebアプリを出しているようである。
AdobeはすでにPhotoshopのWebアプリ版を出すことを宣言しているが、いまだに正式版は公開されていない。PremiereのWeb簡易版をYouTubeに提供している。さらに将来的にはデスクトップアプリをすべてWebアプリに移行させることを示唆している。そうなると技術的問題よりも、どこから収益を求めるかというところで時間がかかりそうだという。Googleのように広告の収益で成り立つかどうかということである。優秀なリッチメディアアプリといっても、Officeのように一般の人が誰でも簡単に使いこなせるものではない。ここで簡単にWebアプリに移行はできないだろう。
しかしGoogleとの関係は良好のようである。FirefoxとGoogleの関係にも似たところがある。そのFirefoxも成り立っているのはGoogleからの広告料のようである。こうしたことから、一番可能性があるのはGoogleによるAdobeの買収ではないかということである。これが実現すれば、YouTubeを買収したくらいのメリットがGoogleにはもたらされる気がする。Adobeは社運をかけずとも、スム−スにWebアプリへの全面移行を実現することができるだろう。ただパワーバランスからして、現在すぐに動くことはないだろうが、やはりMicrosoftが強引にYahoo!を買収してしまえば、GoogleとAdobeの合体も実現性を帯びてくることになるだろう。