Open XMLがISO標準化で承認

 結局、Office Open XML(OOXML)はISO標準化が承認された。これでMicrosoft Officeは延命されるか、いやMicrosoft自身がネット時代に生き残る道が拓けたということになるのだろうか。

マイクロソフトの「Open XML」、ついにISO標準化で承認 (ZDNet Japan)

 すでに承認済のODF(Open Document Format)に加えて、Office文書は事実上、ダブルスタンダードが存在することになる。ODFは特にSaaS型のWebアプリケーションの文書およびOpen Officeのフォーマットとしてすでに流通している。新たにOpen XMLのフォーマットは、Microsoft Office文書の他に、このフォーマットを扱うソフトウェアやWebアプリを自由に開発できるはずだが、そのようなOOXMLフォーマットを標準に持つWebアプリが出現するかは疑問である。


 標準化投票の背景はわからないが、各国による投票で前回は「条件付き反対」に回る国も多かったようだ。Microsoftは、今回はその条件をクリアしつつ、政治力やらロビー活動で精力的に各国の説得工作を行ってきた結果なのだろう。日本も「条件付き反対」から賛成に転換したらしい。


 規格がダブルスタンダードになるのは明らかであっても、やはりMicrosoft Officeがこれだけ世界に普及してしまっている現実から、それによって既存の作成された文書が標準形式ではないという「ねじれ現象」を、結局は避けたいという政治判断が働いたのではないかとも推察する。技術的な方向性と、現実的な要請というものは必ずしも一致はしないものだからである。


 さて今後のことを考えると、これで決着で終了というわけではなく、ダブルスタンダードをめぐる対立、混乱の始まりであるともいえる。まず、フォーマットは公開されているとはいえ、2つの異なるフォーマットで作成された文書が相互に変換がスムースにいくかどうかである。Microsoft Office の2003と2007の間でさえ混乱しているのに、ODF標準の他のアプリの文書との間の互換性はなおさらである。ここでMicrosoftが従来のような横暴なふるまいをしだすと、おかしなことになる。


 世の中の流れとしては、公文書が従来のようにライセンスありのMicrosoft Officeで作成されることが続いていくのかライセンスフリーのWebアプリで作成されることになっっていくのかであろう。前者のままであればOOXMLが主流、後者に移行していくことになるのであればODFに移行していくことになる。当然、これはビジネス展開の成り行きとも重なる。


 MicrosoftとしてはWebアプリの標準としてもOOXMLを広げようとするだろう。そのためにもYahoo!買収はなんとしても実現させることが重要になってくるのだろう。一般ユーザとしては、個人利用にしろ仕事での利用にしろ、税金のように取り立てられるMicrosoft Officeの呪縛から一刻も早く免れたいだけである。