MicrosoftがYahoo!に最後通牒
Microsoftが、Yahoo!買収問題でとうとう本性を現したようだ。表向きは株主やユーザの利益と、Googleによる広告市場の独占化の「不健全」を阻止するための買収、合併提案だったはずだが、ここにきて株主の利益だけを主張する敵対的買収の構えに入ってきたようである。まさに「衣の下に鎧」である。
マイクロソフト、米ヤフー買収で最後通達--3週間以内の合意を迫る(CNET Japan) MSからヤフーへの最後通達--バルマー氏の書簡を全文掲載
GoogleやMozillaが言っているように、Microsoftが過去にやってきた所業を考えれば、今回のような行動に出ることは驚くに当たらない。かつてのあからさまなNetscape潰し、OSやOfficeソフト市場の独占、多くのソフトウェアの市場を経営戦略的に奪ってきたようなものである。ライバル製品潰しにその機能をそっくりマネをした製品を出してシェアを奪い、それで敵わなければ札束にモノを言わせてライバルを会社ごと買収してしまうという手法である。そうしてデスクトップ時代には、商用ソフトウェアの独占を達成してきた。
ところがネット時代はMicrosoftの独占の思惑通りにはならなかった。インターネットの潮流を読み違えたか、誤解をしていたといえるかもしれない。そのうちに、Yahoo!やNetscapeをはじめネットベンチャー企業が続々誕生することになる。Microsoftはデスクトップ時代に成功した「ライセンス」商法が足かせとなり、ネット分野では立ち遅れるか、自己矛盾を起こすことになる。GoogleやYahoo!に対抗したネットサービスも続々と提供してはいるが、あまり成功しているとは思えない。そこでライバルに勝てないと悟るや、会社ごとの買収に舵を切ることになる。さすがにGoogleは買収できないから(7,8年前だったら可能だったかもしれない)、ネット第2位のYahoo!をなんとしても買収して、Googleに対抗しようとするというのが現在の状況であろう。
しかしそうした手法そのものが、暗黒の?デスクトップ時代のやり方そのままである。日本でライブドアや村上ファンドが有名企業に敵対的買収を仕掛けたとき、アメリカでは20年前くらいの遅れた手法であり、もはや流行らないことだと笑われたものである。その遅れた強引な手法を今、MicrosoftはYahoo!に仕掛けようとしているのである。「株主の利益」を声高に主張しているのも同じである。その言葉はそのまま「Microsoftの利益」にしか、ユーザ側には聞こえてこない。
Microsoftの思惑通りにYahoo!が買収に応じることになれば、事実上ネットに一時代を築いたYahoo!の消滅を意味することになると、多くの人は思っているのではないだろうか。Yahoo!を支えてきた一流の技術者は逃げ出し、ユーザも離れだすかもしれない。ネット上の価値は、Microsoft+Yahoo!=Microsoftにしかならないのではないか。Google+YouTubeによって生み出された企業的価値などとは大きな差があるように思える。さて、悪代官MicrosoftのYahoo!取り立ては実現してしまうのだろうか。