野茂、ついにメジャー復帰

 一時はどうなることかと思ったが、日本人メジャーリーガーの先駆者・野茂英雄がついにロイヤルズでメジャー昇格を果たし、3年ぶりのメジャーのマウンドに登場することになった。

野茂メジャー昇格、藪抜き日本人最年長 (nikkansports.com)

 これまで先発だけしか経験のない野茂が、先発としては外されたが、中継ぎとして最後の1名の投手枠にメジャーに登録された。3年前に日米通算200勝を達成したデビルレイズをシーズン中に解雇され、ヤンキースホワイトソックスのマイナーを渡り歩いた後に、ひじの手術して浪人、昨年はメジャーを目指すためにドミニカのウィンターリーグにも参加しながら、メジャーからの誘いを待った。


 そしてよくあるマイナー契約のままで、メジャーキャンプの招待選手としてメジャー昇格のふるいにかけられる。招待選手とはいっても、いっぱいかき集めておいて競争させ、ほんの一握りの選手だけを選別するという過酷な生存競争である。メジャー契約の選手と違って契約金も安いから、簡単に即解雇もできるメリットがメジャー球団にはあるようだ。


 そしてマイナー契約からメジャー昇格に挑戦した日本の39歳のベテランが、野茂、藪、桑田、高津だった。結局、高津と桑田はメジャー昇格を果たせず、桑田は正式に引退を表明したばかりである。またブランクのあった藪がジャイアンツで見事にメジャー昇格を果たしていた。最後に野茂が開幕寸前で故障し、メジャーも無理かと思われていた。ところが、先発は外れたとはいえ、中継ぎであってもやはり野茂の経験をロイヤルズは買ったという結果になった。温情があるわけはないだろうが、日本人選手の理解者であるヒルマン監督であったことが大きかったと思われる。


 ロイヤルズは野茂がドミニカに行く前から、野茂がメジャーに復帰する意思があるということからスカウトを狙っていたという。近年、日本人選手の評価が高まっているからということもあるだろうが、その日本人選手の評価を高めたパイオニアが誰あろう、野茂自身である。そしてメジャーでもう10年以上のキャリアがある。もうプロになってからのキャリアはメジャーの方が長いのである。ロイヤルズあるいはヒルマン監督としては、目先の1試合、2試合の好結果よりも、長いシーズンを通せば、その野茂の長いキャリアの実力が必ず発揮されてくると読んでいるのではないかと思える。球団事情の違いや日本人選手への理解の差もあるだろうが、桑田との評価の決定的な違いは長いメジャーでの経験と実績だったのだろう。野茂のことだから、出場していれば必ずや何らかの結果を出してくれることだろう。そしていずれ先発にも不死鳥のようにトルネードが蘇ってほしい