士気が下がるYahoo!社員

MicrosoftによるYahoo!の買収騒動は、傍観者からすればネットの将来にも影響しそうなことだけに野次馬的に見ていられるが、Yahoo!社員にとってはなかなか厳しい状況であるようだ。

米ヤフー社員、買収騒動で揺れる社内を語る(CNET Japan)

社員にとっては独立企業であることが誇りでもあるだろうし、独創性を発揮するためのモチベーションでもあるだろう。ところが今回の買収話では、仮にどちらに転んだとしても、Yahoo!社員にとっては士気が落ちるばかりのようである。
 当然ながらMicrosoftに吸収されれば、IT企業とはいえ文化が違いすぎるし、ネットの中の人には嫌悪感を抱く人さえ多くいる。Time Wanerも大企業とはいえ、AOLにしてもNetscapeを消滅させてしまった負の実績がある。


 またGoogleとの提携では、社員にとっては最大のライバルと今さらの気持ちのようである。かつてはYahoo!は新興のGoogleに検索の分野で軒先を貸していた母屋みたいなものだった。今度は広告分野でGoogleに軒先を借りることになれば、やはり独立性は保てなくなるだろう。従来のままで独立を保つのは、もはや選択肢として許されない状況のようである。


 組織が衰退してくるときの典型的パターンで、社員が組織に見切りを付け始めると、真っ先に有能な人材から離れていく。本当に有能な人は、他からももっと良い条件で引き抜かれるからでる。それまでは条件面よりも、Yahoo!が好きで残っていた人も離れていくことだろう。新たな人材を採用しても、かつての独創性のある人は集められなくなるだろう。MicrosoftYahoo!の人材を最も評価するようなことを言っていたが、買収が成功したときにはそうした人材がいなくなるという皮肉な結果となるかもしれない。


 ネットの世界でも栄枯盛衰は世の習いではあるが、なんとなくNetscapeの次はYahoo!なのかという気がしないでもない。