学校裏サイトの問題

 ここ数日、学校裏サイトのことが話題となっている。マスコミ報道にかかれば、いつも詰まるところの論調は同じである。携帯電話のフィルタリングも同様である。「ネットは悪。規制すべきだ」となる

「キモイ」「うざい」学校裏サイト、5割に誹謗中傷 文科省「深刻」(ITmedia 産経新聞)

 なにやら学校裏サイトなるものが数多くできており、それが誹謗・中傷の山、そしてイジメの温床になっているという。文部科学省まで出てくれば権威付けは完璧である。
 だがちょっと待ってほしい(朝日新聞調)。言葉がまともに使えない子供が「バカ、アホ、死ね」などの言葉を使っていたからといって、それがどうしたというのか。感心はしないが、それを仮に見たからといって、見た子供も、みな影響されてそうなるとでもいいたいのだろうか。


 まして、それを理由にネットを規制すべきだという議論に、また持って行きたいのだろうか。こういう議論はたくさん見てきた気がする。ネットで犯罪者が知り合って事件が起きた。犯罪者が知り合えたのはネットが存在するから悪いだとか、一部の不届き者がいるからといって、ネット全体に連帯責任であるかのような風潮は、どうにも気持ち悪さを感じて(キモイというのか?)仕方がない。ネットを見たせいで、善人が悪人に変わるということは考えられない。ネットがあろうがなかろうが、悪人は犯罪をおかす。ネットが犯罪者を養成しているかのごとくの批判はどうにも合点がいかない。


 それよりも、身内から面識もない全くの他人を、さしたる理由もなく、簡単に殺したりする凶悪な犯罪が最近多すぎる。また一方で自殺者も増えているだろう。これらの社会的要因は何か。長い不況の時期に疲弊し、格差も生まれ、国民の心が荒廃してきたことが根にあるように思える。そしてマスコミは他人の批判のオンパレードである。こんなものを毎日見せ付けられると、子供も安易に他人を批判したり、好き勝手にケチをつけてもいいんだと思うようになるのではないか。そして親も、子供に逆ギレされることがこわいから、それに対して叱ることもできない。そういう人たちが、ネットになら何でも書いても許されると勝手に解釈しているだけの話である。ネットがあるからそういう人たちが増えたわけではない。


 ところでそんなに裏サイトがあるのかと思って記事をよく読んだら、そのうちの88%は2ちゃんねるのスレッドなのだそうだ。なんだ、また2ちゃんねる叩きだったのか。大した調査をやっていないな、という気がした。子供には2ちゃんねるは確かに無理だろう。表面的な言葉を背伸びしてマネしているだけである。