回答期限迫るYahoo!買収提案

 もう3ヶ月近くも続いているMicrosoftYahoo!提案だが、Yahoo!側から色よい返事をもらえないMicrosoftが、3週間前に敵対的買収の可能性を示唆した最後通告を行ってから、その回答期限になろうとしている。予告通り敵対的買収の段取りに入るのか、撤退の可能性もあるのか、最終段階に入っている。

ヤフーへの圧力を高めるマイクロソフト--買収提案への回答期限を間近に(CNET Japan)
「Yahoo!の敵対的買収も検討」とMicrosoftのCFO (ITmedia)
「Yahoo!なしでも行ける」―MSバルマーCEO (ITmedia)

 買収提案のあった2月には、その話題性から一時的にYahoo!Microsoftの株価も上がったが、時間がたつにつれて、アメリカ経済の全体的な低迷もあるのか、Yahoo!ばかりかMicrosoft自身も株価を下げている。買収提案が、現金と株によるものだけに、実質買収提示額を引き上げるどころか、提案時よりも下がっていることになる。Yahoo!側から評価額が低すぎると拒否されたため、Yahoo!株主に直接持ちかけることをチラつかせているMicrosoftだが、これではYahoo!株主を納得させることをできるかも微妙なところとなっている。


 そして意外なことに、Microsoft内部でもYahoo!買収に対して反対、疑念の声が上がってきているそうである。どうやら買収提案は、経営陣の独断で進められてきたらしい。仮にYahoo!と統合されたら、Microsoftのオンラインサービス部門はどうなるのか、また上層部がYahoo!買収にばかり関心が行って、他の差し迫った問題に対処しきれていないなどの社員の不満も大きくなっているということらしい。それらもYahoo!買収額を引き上げる可能性を抑えているとの見方である。


 いずれにしても、ここまで来ればYahoo!経営陣側から買収に応じるという回答が示されることはないだろう。そこでMicrosoftが本当に敵対的買収に打って出るか、Yahoo!なしでも行ける」ともポーズを取っているように、方針転換をして自社事業拡大に資金投入するということになるかということである。Yahoo!側は腹をくくって買収提案を拒否し続けているようにも思えるが、Microsoftは引くに引けない立場になっているようにも見える。敵対的買収を仕掛けたとしても思惑通りに買収が進むかどうかも微妙な情勢である。といって拒否されて撤退となれば、世間にはMicrosoftYahoo!に敗北したかのような印象を与えることになり、Yahoo!支援に回りつつあったGoogleもほくそ笑む結果となるだろう。結局、早々と世間に買収提案をアピールした戦略が裏目となったのではないかという気もする。