CrayがIntelとスーパーコンピュータ技術提携

 スーパーコンピュータの名前で有名だったCrayがIntelと技術提携したという。その内容もさることながら、まだCrayという会社があったのかということに、ちょっと驚いた。

Cray が Intel と技術提携、AMD との棲み分けは (japan.internet.com)
Cray History (Cray Inc.)  

 Crayといえば1980年代にその名を冠したスーパーコンピュータで有名だった。Crayという名がスーパーコンピュータの代名詞だったといってもよかった。IBMなどは当時はスーパーコンピュータからは撤退しており、その後は日本のNEC富士通、日立がCrayを追うような展開だった。
 それが1990年代にはCrayは倒産してSGIに吸収され、日本も不況とともにスーパーコンピュータ開発の勢いは失せたようである。そればかりでなく、やはりPCの幅広い普及による安価なx86プロセッサが主流になっていたことがあった。
 そもそもスーパーコンピュータの定義付けは何だったか。答えは単純で「その時代に最も高速なコンピュータ」だそうである。高速で膨大な計算をこなせればアーキテクチャなどは関係がない。20年以上前はシングルプロセッサの超高速化だけで競争をしていた。ただし導入には莫大な予算がかかるので、国家規模の受注がなければ成立しない世界だった。


 現在はネットの普及によって、どうやって超高速計算を実現するかの発想は大きく変わった。シングルプロセッサでなく超並列プロセッサにするのは当たり前、ネットを介して遊休CPUを活用するグリッドコンピューティングの発想もある。もはやスーパコンピュータという絶対君主のようなコンピュータが存在するというイメージはない。


 Crayはその後SGIからも離れ、現在に至っているようだが、もはやかつてのようなCrayではないだろう。おそらくスーパーコンピューティングのノウハウを持つ技術者が残っているのだろうか。Intelと提携することによって、何が得られるのか。Intel側にとっては今後もプロセッサの高速化を進めるにあたり得られるものも多いかもしれないが、Cray側は今度はx86プロセッサを集積したような、また新たなスーパーコンピュータを作ろうとするだろうか。Crayの名が付いても、もはやだいぶかつてのイメージと異なるものには違いない。