Yahoo!とニコニコ動画が提携

 アメリカではMicrosoftYahoo!買収から撤退したばかりだが、そのタイミングで国内ではYahoo!Japanとニコニコ動画が提携(協業)することを発表した。提携と協業とは同じか違うのかはっきりはしないが、かなり親密な提携であるようだ。Yahoo!Japanは本家Yahoo!とはかなり独自路線を貫いているが、これもその独自路線の一環であるのだろう。

ヤフー、「ニコニコ動画」と各種コンテンツ・サービスを協業 (japan.internet.com)
ニコニコとヤフーが今、手を組んだ理由 (ITmedia)

 MicrosoftYahoo!買収からの撤退が、直接この提携に影響しているとは思えないが、少なくとももしMicrosoft Yahoo! Japanになっていたら、ニコニコ動画との提携は難しかったかもしれない。


 Yahoo!の動画といえば「Yahoo!動画」もあるはずだが、あまり人気は芳しくないのが実情だろう。Google-YouTubeに圧倒されていて、あまり話題になりにくい。そればかりかGoogleWeb2.0だが、Yahoo!Web1.0などと揶揄されることもある。動画分野でのテコ入れを考えていたとしても不思議ではない。世界規模ではYouTubeに敵わないが、国内限定の事情ではニコニコ動画のシェアが高い。国内の検索分野ではYahoo!Japanが強いのと似たところがある。動画分野だけに限って見ても、GoogleYouTubeに対抗するには、Yahoo!Japan−ニコニコ動画が最強の組み合わせだということになる。


 さらにYahoo!Japanには「Yahoo!オークション」という、これも本家Yahoo!の方では撤退してしまったような人気コンテンツがある。これはGoogleも持ちえていないものである。ユーザ参加型ということを考えれば、人気の高い動画共有サイトとの組み合わせによって、いっそうの効果が高められる期待がある。ニコニコ動画としてはYahoo!との協業を通じて収益構造を見つけていくことができる期待がかかるところだろう。動画投稿サイトの収益構造はYouTubeですらまだ確立されているとは言えないからである。


 YouTubeは公式チャンネルのように、どちらかといえばステータスとしての割とお堅い公的サイトへとシフトしている傾向があるが、Yahoo!Japanはオープン化としてニコニコ動画のような庶民的な路線へと向かっているようにも見える。またOpenIDの普及がネット上での協業も容易にしてきているようである。これまでのイメージからすれば意外な組み合わせの提携だが、ネット分野でのパワーバランスからすれば、ありうる提携だったといえるだろう。さて、両者はWin-Winの関係を築けるのだろうか。