SNSの足跡機能は不評

 mixiには登録はしているものの、具体的には特に活動する気にならない。コミュニティに参加する煩わしさと、他人の日記を見て回るとペタペタと「足跡が残るのが気持ち悪い」というのが率直な感想だからである。これは一部の人だけでなく、多くの人の印象でもあるようだ。

SNSの足跡機能、「監視されているようで嫌」が半数 (ITmedia)

 管理者であればアクセス解析は重要である。どういうサイトからのアクセスがあるか、どのページへのアクセスが多いかは管理上の参考にもなる。ただそれは、どういう人からのアクセスがあるかという関心ではなく、マシンやサイトの種類に対する関心のようなもので、レベルが異なるようだ。つまり監視されているのは人ではなくて、PCや所属しているサイトであるということだ。


 ところがSNSでアクセスする場合、アクセスしたユーザの履歴が残ってしまう。もともと友達の友達はみな友達のような発想で作られているからとも言えるが、顔も知らない他人に対していきなり足跡が残るのは、少なくともネットの通常の感覚では違和感があり、これが公開されているSNSからは遠ざかる最大の理由にもなっている。ただSNSを好む人は、逆に自分のことを大いに公開しアクセスする人にもかまってほしいという面があるようであり、それが「日記を読んだらコメントしてくれなければ不愉快」という感想に繋がるようである。どちらかといえば、ネットの初級者かセキュリティの意識が小さい人かもしれない。


 mixiそのものも当初は実名で参加することが、それまでの掲示板のような「匿名参加」に対するアンチテーゼのような意味合いもあった。それだけに参加は招待制で限定されていたが、次第に参加者が増えるにしたがって実名というのも現実的でなくなり、実質はニックネームという匿名参加とあまり変わりはなくなった。ただ実名参加のしくみの名残りが足跡機能であるように思う。


 ブログでもいつもコメントする人がよく知っている仲間ばかりが前提であれば、SNSと同じようなことになる。けれども一見さんを追跡したりはしない。ネットの場合は、明確な足跡が残ることよりは、目に見えない一見さんの存在こそ重要であると思える。公開している以上、誰かに見られているというある程度の緊張感は必要だからである。町を歩くときに、それなりの服装をしてマナーを守ることと同じである。それを「私を見かけた人は必ず声をかけてください」ということにはならないだろう。


 といってSNSそのものを否定するわけではない。SNSは顔を知っている人同士のネットワークとしてはきわめて重要であると考えるからである。LANやイントラネットの中でこそ必要なものである。GoogleYahoo!が進めているようなWebメールSNS化や、企業や組織単位で導入されるSNSは進化を続けていくと考えられる。それは単に駄文の日記を誰かに読んでほしいというレベルのものではないだろう。