SNSには新たな競合が起きるか

 このところ何かとSNSの話題が多いようである。米国だけでなく世界的にも第2位の登録ユーザ数を持つFacebookが日本語化して本格的に日本参入を果たし、またMySpaceは音楽業界との提携により、音楽分野で拡大を図ろうとしている。国内はmixiの1人勝ちとされるSNSだが、これから新たな段階へと進むことになるのだろうか。

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 Facebookはもともとアメリカの学生が多く参加している、サークルのコミュニティのようなSNSである。ハーバード大学学生のコミュニケーションのために作られたものが次第に拡大してきた。創始者のCEOも24歳ときわめて若い。Googleとの綱引きもあったようだが、Microsoftがバックに付いたようである。
 実名でのコミュニケーションというのも、学生が交流を図るためにも重要なことであったといえる。問題は、規模が大きくなって一般ユーザに対象を広げて公開して、日本国内でも実名公開主義を貫けるかである。折りしも、青少年ネット規制法案やフィルタリングが議論されているご時世でのタイミングである。社会的には何が「有害情報」のレッテルが貼られるかはわからないが、個人情報保護の観点からもSNSに対して疑念が持たれる懸念はある。日本では原点に立ち返って、大学や大学間でのサークル活動のためのツールとして始めた方がよいかもしれない。それ以下の年代だと、出会い系まがいと誤解されかねないかもしれない。


 MySpaceは日本上陸からすでに2年ほど経過しているが、伸び悩みのようであり、やはり原点に近い音楽分野でのコミュニケーションに力を入れることにして、国内の音楽業界とBtoBの関係を作っていくようである。このところは登録者数にやや増加傾向が出てきたという。同じSNSとはいっても、内容で差別化を図ろうとする段階にきているようである。


 さて国内で一人勝ちとされるmixiだが、ここにきて成長が鈍くなってきているとのことである。実際、最近若い人があまりmixiを話題をしているのを見かけなくなったようにも思える。やっている人はやっているのだろうが、成長の鈍化は身近でも感じられる。携帯でのアクセスは増大している一方で、PCでのアクセスは減少しているというデータも、それを窺わせる。SNSが、というより、若者はPCから携帯への傾斜そのものが大きいせいかもしれない。特別な目的がなければ、PCを準備しなくてもすべて携帯で事が済んでしまうからであろう。mixiでさえそうだから、他のSNSサービスも同様である。GREEのように、PCでの機能の他、携帯SNSに独自にゲーム機能などを加えているところもある。携帯の方が機能が多いということである。


 Facebookの参入が刺激となって、再びSNSの新たなブームと競争が巻き起こることはあるだろうか。あるいは互いに差別化を図るためにSNSの新しい形態へと進化していく契機となるか。自分としては、ユーザよりはOpenPNEのようにビジネス目的で、独自に導入して開発できる内部のSNSについての方が関心はあるが、一般のSNSサービスが進化してくれば、こちらもその影響を受けることになるのは間違いがない。