日本人はWikipediaやFAQ好きか

 ネットの利用人口に対して、日本はアメリカよりもWikipediaやQ&Aサイトの利用率が高いという。Yahoo!知恵袋も最近では検索上位に見られる傾向にある。国民性の違いなのか、ネットに対するリテラシーの考え方の違いなのか、好ましい傾向といえるのかどうか、やや考えさせられるところではある。

Wikipedia利用率、米国より日本のほうが上 Q&Aサイトも好き?(ITmedia)

 近年では検索キーワードを入力すると、必ずWikipediaが上位に来るので反射的に調べてしまう面もある。ちょっと物事を調べるには、普通の人には十分の情報である。ネットで知るようになって、便利になったものだと実感した人は多いだろう。それはそれ以前には、書店や図書館に行ったり、紙の百科事典を実際に調べたりする労力を知っているからである。そして辞書を引くことと同様に、それは学校で教えられたことでもあった。


 ところが近年は学校教育からして、ネットでの「調べ物学習」と称して、Googleで検索させて事柄を調べさせることをするという。その是非はともかく、最近やたらコピー人間が増えたような気がするのは、こうしたことも影響しているのではないかという気もする。調べるのはいいのだが、その結果をただそのままコピーするだけ、あるいは知識として鵜呑みにして脳内にコピーするだけで終わらせることが増えたのではないか。調べることが容易になっただけ、考えることもしなくなったような気もする。情報量が増えただけ、少ない情報量から深く読み取るという思考を停止してしまっているのではないだろうか。もっともこれは、自分自身に対する反省もある。


 日本人はアメリカ人と違って、人前でオープンに議論するということが苦手である。「人には聞けない事をこっそり調べる」という欲求にネットは合っているのかもしれない。ネットのFAQが流行るのもそうしたこともあるのかもしれない。身近の人間には訊きずらいが、ネットで匿名だと訊きやすいので初心者FAQなども大いに賑わう。ネット上の「教えて君である。これも自分では積極的に調べようとしない、安易にネットで訊けばいいという、やはり思考停止の反映の1つにも思える。それに対してYahoo!知恵袋のように丁寧に答えてくれる人もいるが、思考停止を指摘するのが「ググレカスであろう。


 しかし何かネットで調べようとするとき「Google先生に訊いてみよう」とばかりキーワードを入れると出てくるのがYahoo!知恵袋というのも、何とも不思議な感じはする。Googleに聞いたら「答えはYahoo!で」と言われているようなものだからである。それがネットだからといえばそうではあるのだが。


 実際自分が調べることが多いのは、やはりPCやネット、サーバなどの設定からみのことである。バージョンアップが早すぎて、最新のものには書籍が追いつかないからである。ネットの中では、新しいソフトやサービスが出ると、必ずいち早く試してみて報告してくれる「人柱」のような人が沢山いる。それを参考にして、自分の環境の設定を進めるわけだが、すべての人が同じ環境ではないから微妙に状況が違うことになる。そこからは自分が試してみてなんとかすることになるわけだ。それで自分がうまくいけば、今度は自分がその結果をブログなりで報告しておけばいいことである。またそれを参考にしてくれる人が少しでも居てくれればいいし、誰も参考にしなくても単に自分の備忘録だから、それはそれでもよい。いずれにしても、調べるといっても、ただの画面上のドラッグ&コピーや名前を付けて保存だけで終わるようなことは避けたいものである。