OpenOffice.orgを導入し始める企業

 だんだんこういう流れになってくるかもしれない。企業系では絶対的と思われていたMicrosoft OfficeからOpenOffice.orgへの転換が始まり出してくるかもしれない。

「コスト削減が狙いではない」、住友電工OpenOffice導入の真相 (ITpro)

 OpenOfficew.orgはオープンソースフリーソフトだし、コストも削減できるという単純な話ではないようだ。企業が政府調達の事業に応札する場合に、むしろオープンな標準に準拠するという条件が付くとのことである。かつては国産企業だけに入札させることが暗黙の了解だったが、今の世の中では談合ととられかねない。外資系企業も含めて公平な入札を行うことを示さなければならない。そのためには公文書の書式も標準のものとして、特定の企業のものに偏ってはいけない。Microsoftの書式も例外ではない。そして現在のオープンな標準にいち早く対応してISO標準となっているのが、OpenOffice.orgをはじめとするODF(Open Office Format)である。ところが今春にMicrosoftも強引になんとか、Office2007からの標準フォーマットであるOOXML(Office Open XML Format)をISO標準に認定させた。


 それは決着ではなく、むしろ「混乱の始まり」である。同じ文書にISO標準が2種類存在するというダブルスタンダードの状況になったからである。政府調達のような立場では、どちらか一方を勝手に排除することはできないし、それを理由に入札の却下はできない。また入札する側も、どちらの形式の文書にでも対応できるようにしておかなければならない。実質的には、どちらのフォーマットの文書が回ってこようが、対応できなければならないということである。それがOpenOffice.orgを導入した最大の理由であったという。もっともコスト削減が目的ではないとはいえ、部署や中小規模の組織によっては、オープンソースソフトでコスト削減が出来る状況ならば、喜んで採用したいはずである。みな他所でも使っているから仕方なくMicrosoft Officeを導入しているのである。


 確かにこれまではMicrosoft Officeの独占だったからOffice文書に従ってください、でよかったのだろうが、ODFがISO標準になっている以上、これを排除はできないことになる。長期間、公文書として保存するためには、どちらのフォーマットにしておくべきなのか。もう何年か前にマサチュ−セッツ州でODFを公文書としようとする動きがあったことが思い出される。今後は国や自治体ばかりでなく、企業ごとにもその判断が求められることになりそうである。


 もちろん現実的には、当面の間、ODFにもOOXMLにも対応、すなわちMicrosoft OfficeにもOpenOffice.org系にも対応という併用の形が続いていくだろう。それどころか、Office2007と2003以前のソフトウェアの併用も続いていく。ODFとの変換をやりやすいのはOffice2003以前の方という皮肉な話にもなりかねない。いずれにしても、こうした混乱の原因はすべて、OOXMLをISO標準に認めてしまったことにあるという気がしてならない。