自治体でもOpenOffice.org全面導入へ

 OpenOffice.orgを積極的に導入する企業が現れたと思ったら、今度は自治体でも導入を決めたところがある。白虎隊で有名な会津若松市である。それも市長みずから導入の経緯を発表している。やはりこうした流れは加速してくる可能性がある。

会津若松市がOpenOffice.orgを全庁導入へ
「順次MS Offceから切り替え,5年間で約1500万円削減」(ITpro)

 会津若松市といえば、会津大学のある地でもある。20年ほど前に県立大学として開学したが、当時で事務系も含む全学的にワークステーションを導入したり、それに伴い、教員も崩壊後の旧ソ連の研究者を受け入れたりしたことでも話題になった。一県立大学としては進歩的過ぎるようにも思えた。そのときから市側と大学側が関係を持ち続けて刺激されてきたことが、今回のような決定に結びついてきたのではないかとも推察される。市長会見をYouTubeに流していることも、どこぞの政党みたいで進歩的である。


 日本の自治体は今はどこでも赤字であるから経費節減の効果はもちろんであるが、自治体ならではのこととして公文書の標準形式をODFとすると明言している。これはかつてのマサチューセッツ州の選択と同じである。それに至った経緯として、以下のように語っている。

「過去に作成した文書が,最新版のソフトウエアでは読めないということもあった。標準の文書ファイル・フォーマットを国際標準であるODFとすることで文書を長期に保存,利用できる」

 これはOffice2007のOOXML形式が、Office2003以前では読めなかったことで現場が混乱したことを指しているのであろう。このことで相当カチンときたことは想像に難くはない。いろいろなところで、出くわした光景だからである。Microsoftに言わせれば「それはファイル保存の時のファイルの種類の選択で・・」と弁明するかもしれないが、そんなものは問答無用である。古いOfficeにしろ、新しいOfficeにしろ、どちらも「標準」のままで保存したものが、他方では読めないなどということでは混乱するのは当たり前である。Officeなどは利用している人間はコンピュータの専門家ばかりではないのだ。OOXMLが、などと言われても「そんなの、かんけいねー」である。保存したつもりの文書が、いざというときに読めなくなっている。会議や報告の直前に気が付いたりする状況を想像してみるがいいのである。ましてや、わざわざ新しいソフトに入れ替えたことがアダになったとすれば「これは使えない」と思われても当然である。業務の現場は1ソフト会社の実験の場ではないのである。


 といっても、自治体では導入した前例がないだけに、OpenOffice.orgも本当に使えるのか、ちゃんと調査をしたのであろう。そうしたときにUNIX系で実績のある地元の会津大学とのパイプも役に立ったのではないかと想像できる。いずれにしても、市長さん、Good Job!である。


会津若松市長のOpenOffice.org導入会見