なんでも規制法の有効性は?

 最近、国が主導で何でもネット関連の規制をしようとする動きがある。社会の風潮への懸念なのか、それとも別に意図があるのだろうか。またその有効性をどう考えているのだろうか。

迷惑メール送信、全面禁止に 改正法成立 (ITmedia)
新聞協会「青少年ネット規制法、表現の自由に悪影響」と懸念表明 (ITmedia)
「準児童ポルノの根拠は」─MIAUがユニセフ協会に公開質問 (ITmedia)

ざっと見渡しただけでも、近いところから「迷惑メール送信規制」「青少年ネット規制」「準児童ポルノ所持規制」「ダウンロード違法化」などである。小中学生には携帯を持たせるなというお達しまである。それぞれ団体や立場によって、いろいろな思惑はあるのだろうが、あまり議論を尽くさぬまま、規制に走っている傾向にある。政治家が絡む問題ならば、もっと緊急に取り組むべき課題は多くあるはずなのにという印象である。もっと犯罪防止という観点からは、凶悪化する犯罪に対する検挙率が落ちている気がする。政治家は諸悪の根源はネットだけにあるという思想なのだろうか。


 まず迷惑メール送信規制であるが、この規制の意図は「出会い系勧誘メールの規制」であろう。メールを送る業者と顧客の関係のトラブルに対してならともかく、スパムに対する対策にはいくら日本の規制法だけ改正してもどうとなるものでもあるまい。海外経由のスパムならばお手上げである。それともスパムをブロックしないプロバイダが罰せられることになるのだろうか。基本的にはザル法になる可能性は高い


 青少年ネット規制に関しては、政治家以外はみな反対しているようにも見える。青少年を保護することに誰も反対する人はいないだろうが、面倒だから何でも頭ごなしに規制しているようにしか見えない。「なんらかの規制は必要だろうが国が押し付けるようなことではない」というのが多くの人の意見であるように思える。政治家は一部の有識者が述べた見解を鵜呑みにしているからではないのかと思える。そしてその有識者なる人も、実はネットにも教育にも詳しいわけではなかったりする。ちょうど、その場の雰囲気だけで発言するテレビのコメンテーターなどのようなものだ。


 児童ポルノ規制は世界的な流れとはいえ、国内では援助交際規制みたいになっている。子供の携帯の所持を禁止したり青少年のネット規制をする目的もっそこにある。子供は携帯を持つと、みな出会い系、ネットでのいじめに走ると思っているのだろうか。大人に対しては、子供に関心を持ちそうな性的な描写のある漫画やアニメの所持まで規制しようとするのだという。ネットが普及したからといって、特に青少年の犯罪件数が増えたというわけでもないようだ。むしろ親による子供に対する虐待などの方が目だっているように見える。まとめると、

小中学生    携帯所持禁止                 
高校生     携帯・ネットのフィルタリング         
大人      (準)児童ポルノ単純所持規制、ダウンロード規制 
ネット業者   迷惑メール送信規制              

となる。これにて援助交際規制完了になるというわけだろうか。その是非は議論する気も起こらないが、気になるのは現在の政治情勢である。いわゆる与野党のねじれ現象の中で国の重要法案の審議が進まない。そんな中で、与野党とも反対しようがないだろうというのが上記の規制法案である。超党派で満場一致で賛成に回れるし、国民にも評価され選挙に向けての点数稼ぎにもなると思っているかもしれない。かくして国のより重要な政治案件は棚上げされたままで、ネット規制法案だけがどんどん先に進んでいく。