資源豊富な都市鉱山とは

 福田首相がアフリカ各国首脳を日本に呼びつけたかのように、積極的にアフリカへのODAの大判振る舞いをしている。国内的には高齢者の年金から天引きさえして財政が逼迫しているというのに、このバラ撒きはいったい何なのかと疑問を抱かざるをえない。
 今や中国が電子機器の需要拡大を見越してレアメタルを買いあさってきており、価格も急騰してきているという。そのレアメタルの将来的確保のために、政府も目の色を変えたということらしい。普及したとはいえ、携帯やPCも思わぬところにアキレス腱があったものである。


 ところが国内には世界一の埋蔵量を誇る都市鉱山が存在しているのだという。

ゴミの山から宝の山へ―都市鉱山からレアメタル (ITmedia)

 それは古くなったPCの基盤や携帯電話の廃棄物を集積した処理工場であるという。これらを溶鉱炉で溶かして、レアメタルを回収して再利用すれば相当の埋蔵量だということになるそうだ。なんと金、銀、鉛、インジウムに関しての埋蔵量は世界一であると算定されている。特に液晶パネルの電極に使うインジウムは、世界の年間消費量に対して鉱山埋蔵量があと6,7年しかもたない数字である。ところが日本の埋蔵量は世界の埋蔵量の61%分も眠っているという。ずっと輸入を続けてきてすでに古くなって廃棄された液晶モニターに眠っていることになる。実際、液晶モニターや液晶テレビが普及してきてからまだ10年ちょっとくらいで、これだけの量になっているということである。


 問題は廃棄物からレアメタルを回収する技術ではなく、古い機器を本当に回収に出すかというユーザ側の意識の問題であるという。確かに法律によってリサイクルを強制することはできないかもしれないが、本来資源が乏しい日本にとっては、これは国策にしてもよいくらいのものであろう。やみくもにODAをバラ撒くことよりも、はるかに有意義なことであろう。