青少年ネット規制法が成立

 とうとう青少年ネット規制法が成立してしまった。なぜこれほど拙速に成立を急がなければならなかったのか。国の緊急性のある課題は山積しているのに、という実感である。

「青少年ネット規制法」成立 (ITmedia)

 秋葉原の事件後も、犯人が携帯サイトの掲示板に書き込んでいたとか、ナイフの情報はネットで手に入るからとか、あたかもネットの存在が犯罪の原因になっているかのようなマスコミ報道である。それならば、ワイドショー仕立てのテレビ報道は犯罪者や自殺志願者を刺激してはいないのかと言いたくなるところである。政治家も、さんざんこうしたマスコミのネットに対する偏向報道を鵜呑みにしている人が多いのではないかと疑問を持つ。


 少なくとも今回の法案には、IT業界、新聞協会、保護者、教育現場からも疑問が呈されていた。それにも拘わらず、国会で押し切ってしまったのは、前にも書いたが、現在の国会のねじれ現象と関係があるのだろう。国の重要課題については、与野党の膠着化状態によって国会審議すら進まない。ところがネット規制に関しては、政治家にとっては直接の利害関係がない問題である。超党派で賛成に回れる大義名分が成り立つから、周囲の意見も聞かずにどんどん先に進んでいく。人権問題などと同様である。また与野党ともに、来るべき選挙に対しての実績作りにもなる。そうした道具に利用されたという気がしないでもない。