HP 2133の販売開始時期が延期

 話題の日本HPのミニノートPC「HP 2133」の販売開始時期が延期になった。米HPではすでに4月から販売されてはいるものの、日本HPはVista搭載の独自モデルを出荷しようとしていることから、それをめぐって何か問題が発生しているのではないかと勘ぐってしまう。

日本HP,「HP 2133 Mini-Note PC」の販売開始時期を延期(+D PC USER)
Windows XP環境で「HP 2133 Mini-Note PC」を試す(5/27)
小さくて堅くて安い「HP 2133 Mini-Note PC」を動画で見る(5/21) 

 Eee PCに始まるミニノートPCへの関心は、かつてのネットワークコンピュータの提唱の際の「500ドルPC」の形を変えた実現であるからともいえる。PCの価格は下がり続けているとはいえ、ノートPCは相変わらず割高感があった。それが一気に5万円台まで下がってくるのだから、注目を浴びないわけがない。スペック的には1世代前くらいのノートPCの性能としては十分なものであるから、中古ノートPC並の価格である。


 価格の次は用途である。HPとしては1台目のPCとしての用途にも耐えられるだけのPCというコンセプトのようである。マーケット的には企業などでの大量導入を含め薄利多売にならざるをえないであろうから当然なのかもしれないが、現時点で関心を持つ人はそこまでは期待していないだろう。Officeをはじめ有償ソフトウェアを詰め込めるだけ詰め込んで、同時にたくさんウィンドウを開いてアプリを実行して、などという利用を考えているわけではない。自分ならGoogleパックだけでも十分である。


 用途を意識するなら、やはりOSの種類が問題である。日本HPはVista搭載モデルにするということだが、これまでのVistaの評判を知っている人からすれば無理があると即座に考えるだろう。そこで上位モデルには「XPへのダウングレード権」を付けるのだという、いかにも苦しい選択である。従来のOSのアップグレード権付きPC販売の逆である。販売開始時期が遅れているのは、このへんの判断をめぐって問題になっているのではないかとも想像する。特にダウングレードをするくらいなら初めからXPをプリインストールしておけばよさそうなものだが、それができるのはXP Home EditionだけでProfessionalは6月末をもって販売終了となってしまうからである。しかし、これはなにもHPの責任ではなく、MicrosoftVistaの失敗のツケを負わされているだけである。


 自分に言わせれば「Ubuntuでも入れなさい」であり、用途は「シンクライアント的利用をしてください」になるだろう。もちろんそれでは、少なくとも日本でのPCの単体売りとしては難しいのだろう。


 またハードディスクを使わないで、やはりフラッシュメモリにしてほしいHP 2133の試用報告によれば、ノートPCの裏面は40度以上の熱をもつので、短パンなどで膝の上に乗せて使用するには難があるという。それにミニノートPCとはいえバッテリと合わせて1.27kgと1kgを切っていないことも気になる。より省電力化も課題だろう。


 直接触っているわけでないが、いろいろと注文もあるのも注目の裏返しであるからである。10年以上前のかつてのVaio薄型ノートPCが出現したときのような注目度である。しかし価格的にもパフォーマンスにもその足を引っぱっているのがWindowsだという気がしてならない。そういえばTCOなどと言って500ドルPCを否定したのもWindowsだった。
 少なくても上位モデルでは、ダウングレード権などという訳のわからないことをせずに、オプションでもパワーユーザ御用達のLinuxモデルにしてしまった方がよさそうに思える。やはり2代目、3代目に期待した方がよいだろうか。