電子メールは衰退するか

 同じような話題の「電子メールに未来はない」という記事を書いたが、再びこのテーマを採り上げよう。PCでの電子メールの利用率は下がってきていることは確かのようである。

電子メールは衰退するのか--取り巻く現状と生き残る道 (CNET Japan)

 特に個人での利用が下がっているのは、TwitterSNS、リアルタイムコミュニケーションツールなどが登場してきており、ユーザがそちらに分散してきたからだともいえる。PCでのメールはそうだが、ただこの記事の議論に入っていないのは携帯メールの存在である。海外とは事情が異なるかもしれないが、国内では若い世代中心に携帯メールはリアルタイムコミュニケーションに近い使われ方をする存在となっている。


 一方で企業の中では、いまだにOutlookだExchangeサーバーだ、Notesだというものが厳然と存在している。ビジネススタイルが劇的に変化しない限り、すぐにはこれらが他のツールに取って代わられることはないだろうとしている。実際それもそうであろう。ただ後ろ向きの理由としては、企業などのメールはスパムに悩まされていることである。メールが時代遅れかどうか以前の問題として、スパムが実際業務の障害となっていることである。スパム対策がきちんとなされている企業もあるが、ネットの運用の力があるところばかりではないので、メールクライアントまかせでほとんど放置状態のところもある。なんとか対策をしてくれと言っても、メールアドレスを変更することくらいしか対策を示せない。それにしても一時のことだけで、すぐに同じことになるだろう。なによりビジネスの現場では、メールアドレスをころころと変えるわけにはいかない。たとえば名刺1つも作り直さなければならなくなるからである。


 組織としてはスパム対策のしやすいメールシステムに移行することである。現状では手っ取り早いのはGoogleGmailを組織導入することであろう。プロバイダではすでにlivedoorが実行している。メールサーバーは社内にあるべきという発想自体が古くなりつつあるということである。内部にあってもスパムにやられたり、しょっちゅうダウンしたり、情報漏えいしているようではお話にならない。管理も含めてGoogle Appsのようなアウトソースをしてしまうのである。


 Gmail自体はメールであるというものの、システムは徐々にアップグレードされ機能的にもかつてのメールとはだいぶ変わってきている。このGmailが次第にメールからSNSのように変化してくるとすれば、システムを変更することなく次世代のコミュニケーションツールに自然と移行することになるだろう。またしてもGoogleかと思いたくなるが、Gmailのユーザ数を考えればこの流れは無視できないだろう。いきなり電子メールというシステムが捨て去られるのではなく、まずWebメールに移行しSaaSとなり、そののWebサービスがバージョンアップしながら新しいコミュニケーションツールへと進化していく、というのが現実的と思われるが、さてどうなっていくだろうか。