2008北京五輪開会式

 事前にチベット問題、四川省地震、テロなど多くの問題を抱えながらも、北京五輪が開会式を迎えた。厳戒態勢の中での五輪開幕のせいもあるが、開会式でも何か従来の五輪とは異なって、違和感を覚えたことも確かである。


 開会式に首脳が出席するのは米国、ロシア、欧州はじめ80数カ国に及ぶという。洞爺湖サミットどころか、国連総会なみである。五輪の開会式にこれだけ首脳が参加する五輪は、かつてなかっただろう。


 多くの人が指摘するであろうことは、開会式全体が中国の国威発揚の場そのものにしか見えなかったということである。多くの壮大なマスゲームが次々に登場したが、各国の選手団もその要員の一部に過ぎないように思えた。今時こんなマスゲームが可能な国は中国と北朝鮮くらいのものだろう。


 さてマスゲームの内容は、中国4千年の歴史を誇示するものであった。中国の四大発明「紙の発明」「活版印刷の発明」「羅針盤」「火薬」は、西洋よりも早く中国が起源であったという主張だったようである。また大航海もマゼランやコロンブスよりも鄭和の方が早かったということだろうか。それらを壮大な絵巻物として会場のフィールドいっぱいに表現していた。


 それらを表現しているマスゲームの要員の膨大な人数に圧倒される。あれだけの人数がどこから出入りしているかが不思議であった。古くからの人海戦術方式なのだが、人間がデジタル化しているようにも見えた。
 五輪は名目上は「平和の祭典」とはいえ、開催国によって全くその意義が変わるものであることを認識させられた開会式でもあった。