MozillaとGoogleが提携を延長

 昨日に続き、ブラウザ関連の話題である。Firefoxを有するMozillaGoogleと、これまでの検索に関連する提携を3年間延長することになったという。MozillaGoogleは以前から良好な関係が続いていたから当然とも言えるが、近い将来のブラウザとネットサービスの方向性における、この提携の持つ意味は大きい。

モジラとグーグル、検索関連の提携を3年延長 (CNET Japan)

 そもそも非営利団体のMozillaの資金源は、Googleとの提携によるFirefoxへの検索バーの登録料がほとんどであろう。その売り上げの 85% はGoogleに依存しているのだという。ある意味、Googleの別働隊にも見える。GoogleとしてもブラウザでMicrosoftのするために、独自のブラウザを開発することなく、FirefoxGoogleサービスに適合したブラウザとして期待することができる。実際、JavaScriptの拡張であるAjaxによるGoogleサービスは、今やSaaS型のWebサービスの標準になったといえる。Firefoxの先祖であるNetscape NavigatorJavaScriptの元祖だったことを考えれば、FirefoxGoogleの親和性はきわめて高い。他社のブラウザよりも、この点ではアドバンテージが大きい。実際、FirefoxGoogle検索バーを組み込むことへの支払いは名目的なことに過ぎず、Mozillaに投資することにより、Googleにはそれ以上の開発上のメリットがあると考えられる。


 そしてMozillaにとっても、Googleから豊富な資金が得られている限りは、目先の利益にとらわれない安定した開発に取り組むことができる。それがIEのシェアを奪うことにつながり、Firefoxがブラウザの主流に近づくことにもなる。やや懐古的に見れば、時代は変わったが、Netscapeの逆襲だと思えば感慨深い。そして提携の延長によって、少なくともここ3年はFirefoxがブラウザとその周辺の先端を走り続ける可能性が高くなった。3年間とは一般的には短いようにも思えるが、短期間のうちに何が飛び出してくるか予想もつかないネットの世界では十分の時間でもあると思える。逆に廃れるときも早い。


 Googleがネット全体に拡大を続けるのが、どういう方向に行くか、またそのプラットフォームになるブラウザのFirefoxがどういう進化を遂げていくことになるか、ネットに関してはこちらが本命だと信じて付いていくことになりそうだ。