Google Apps の障害と対応

 Googleの年間のサービスダウン時間は各国でわずか数10分ということだったが、サーバーアプリケーションになれば必ずしもそうはいかないようだ。有料のGoogle Appsでもダウンはありうるし、それにどう対応するかである。

Google Appsサービス障害、Googleの対応は (ITmedia)

 Google AppsにはGmail、Calendar、オンラインオフィスのDocs、最近でいえば社内SNSのようなSitesがある。どれだけこれらのサービスに依存しているかにもよるが、業務中にこれらがすべてダウンしては何も仕事にならないし、顧客サービスへの損失も大きくなりかねない。もし基幹システムをGoogle Appsに移行させているような場合、これはどう捉えればよいか、難しいところではある。


 現状でいえば、最大の問題はやはりメールである。これは社内でメールサーバーを抱えている場合でも、メールサーバーがダウンしている間に相手から送られてきていたはずのメールが消失してしまっていることはありえた。相手にエラーメールで返っていればよいが、何も返さず障害になってメールが届かないと、相手はいつまでも返信がこないことに疑念を抱くことになる。緊急性の高いメールだとなおさらである。Gmailでは障害の間、単純にメールが消失しているとは考えにくく、おそらくメールが遅延することになっているだろう。


 それでも自主的なメールサーバー運用よりは、Gmailの方がトータルでは、はるかに安全ではある。万が一の障害に備えて、緊急連絡用に別のメールアドレスを用意しておくのも1つの方法である。自分はそれすらGmailの一般メールアドレス(..@gmail.com)にしていたりする。もちろん独自ドメインのアドレスに対応付けさせることもできる。Gmailはどんな内部メールサーバーやWebメールよりも安全だからと考えるからである。もちろんYahoo!メールその他にしておいてもよい。


 さてCalenderやDocsに障害があった場合、これはネットそのものがダウンしてネットサービスが使えないこととほとんど同じになる。必要なスケジュールや文書が読み出せないと、業務はほとんどお手上げである。これは日常的に文書をどこに保管しておくかという問題でもある。Docsで保存すると、自動的Googleのサーバー上に保存というかアップロードされるが、当座には使わない長期保管文書はそれでもよいが、現在作業中の文書はやはり同時にローカルPCないしは内部サーバーにもバックアップしておくべきで(リムーバブルメディアは避ける)、仮にDocsがダウンしていてもバックアップ文書を開いて、OpenOffice.orgないしMicrosoft Officeでローカルには編集できるようにしておくのがよいかもしれない。Googleサーバー上に作業文書を保存するのは、あくまでネットで文書共有などの機能を用いることに利点があることだからである。Sitesではネットが前提であるので、これは障害通知を徹底して復旧を待つしかないだろう。


 要するにネットがダウンしていました(これはローカルの問題)、Google Appsがダウンしていたので何もできませんでしたでは、ローカルのネットの運用すらちゃんとできていないことになるだろう。Google Appsを導入したからといって、業務そのものをGoogleに丸投げしたわけではないのだから。


 なぜこうしたことにこだわるかといえば、単なるSaaS型のサービスから、目の前にはクラウドコンピューティングの業務への導入を見据えているからである。今後ますます業務のプラットフォームは外部に、インターネットの雲の上に出て行ってしまう。そのときでも、あたかも手元で業務が支障なくできているようにするには、どういう取り組み方をしなければならないかが、今問われている気がするからである。そして何か障害が起きたときに、必ず後ろ向きの発想しかできない人達との粘り強い交渉が必要になるからである。業務にネットが導入された頃の「ネットで情報のやりとりすることへの不安」、もっと遡ればPCが導入された時代の「紙でなくPCでデータを扱うことの不安」も、やはり同じことだったとも思える。