福田首相が突然の辞任

 前にも同じような記事を書いたなと思ったら、1年前の安倍首相辞任のときだった。唐突に、あっさりとという辞任のイメージは共通するものがある。近年は日本の首相は誰がやっても、あまり変わらないというイメージが強く、ニュースで騒いでいるわりには国民は冷ややかに見ているような気がする。

福田首相が退陣表明、官邸で緊急記者会見(YOMIURI ONLINE)

10時ごろネットで情報を見ていたら「福田首相が辞任した」という速報が流れていたので、テレビをつけたら何度も辞任会見の様子をやっていた。辞任理由にとりたてて目新しい話はなかったようである。健康問題が理由という安倍前首相よりは、時期的にはややわきまえていたという程度だろうか。それにしても改造内閣と称して新内閣を発足させたばかりである。結局は次の政権で、また大臣総取替えになるのだろうか。首相ばかりでなく大臣すら、ますます誰がやっても同じのお飾りにしかなっていないように思える。目立つのは疑惑や失言のときばかりである。


 人がどうこうの前に、日本の国内外に閉塞感があふれているようである。原油高、物価高騰からくる経済不安もグローバルな問題と直結している。国際関係も昔のような東西対立、右寄り左寄りというだけの簡単のものではない。困難な時代にリーダーシップを発揮し、困難に対して突破口を開けるようなタフな政治家はきわめて少ないようである。誰がなっても同じトップの座は、2世、3世の議員の順送り人事にしかなっていないようである。そして時代状況が違うとはいえ、初代に比べておしなべて小物になってしまっている感がある。


 後任が誰になっても、やはり当面は同じことの繰り返しだろう。いずれ総選挙になるだろうが、今の選挙制度そのものが有望な人材を輩出させる仕組みになっていない。既得権益を守るか、小泉チルドレンのように有力者にバックアップされて、何の脈絡もなく登場する話題の人ということばかりが優先されている。結果、選挙になっても1票を投じたいと思える候補者が見当たらない小選挙区では事実上二者択一しか余地がなくなり、いずれもそれらの理由で投票意欲が湧かないケースが多い。そういう有権者が増えれば、今度は投票率が低下ということになるのだろう。


 与党であれ野党であれ、危機感を持ったギリギリの活動をするような政治家が増えなければ、マニフェストという建前ばかり口当たりのよいことを言っても、何も変わりはしないだろう。与野党拮抗は大いに結構、ただの数合わせでない政界再編も結構、選挙後も大いに紛糾して、その中から少しでもまともな組織が生まれてくることを期待するしかないのかもしれない。