Zoho Docs に文書一括管理機能

 日曜日はネットニュースサイトも記事がお休みになってあまり話題がないので、大きな話題にはなりにくいオンラインオフィスの話題を取り上げよう。Zoho Docsに文書一括管理機能がようやく加わるという。一応ユーザ登録をしてアカウントだけは持っており、メールでしばしば最新情報も送られてくる。実はひそかに応援しているWebサービスなのだが、そもそもZohoの位置づけはどうなっているのだろうか。

Zohoアプリの文書を一括管理できる「Zoho Docs」ベータ版(INTERNET Watch)
Zohoのプレゼンアプリ「Zoho Show」が日本語にも対応 (ITmedia 2008.6.26)
Zoho、2007年中に全サービスを日本語化 (ITmedia 2007.10.5)
ZOHO Work. Online

ZohoWeb2.0時代を代表するSaaS(Software as a Service)の1つであるといってよい。一言でいえばオンラインオフィスサービスの草分け的存在であるといえるだろう。今ではオンラインオフィスはにわかに話題になってきており、その代表格はGoogle Docsである。知名度ではGoogleだが、ネット分野に全方位の展開を進めるGoogleに対して、Zohoはこの分野の専門店みたいなものである。サイトに行ってみればわかるが、アプリケーションの種類も相当ある。使い込めばGoogle Docsよりは、はるかに多くのことができるだろう。


 Googleにしても、新しいWebサービスを立ち上げる裏には必ずその分野のベンチャー系企業の買収がある。実はGoogle Docsの展開に当たっても、Zohoを買収しようとして失敗している経緯がある。当時YouTubeの買収に資金がかかりすぎたせいであろうか。ひょっとするとZohoGoogle Docsになっていた可能性もあったのである。


 国内で話題になりにくいのはGoogle Docsも同様で、まだWebオンラインでOffice文書を編集するという「文化」が浸透していないこともあるだろう。かつてのワープロ文化、表計算などは根強い保守的な世界であるからあろう。MS-DOS時代にはPCの一太郎、Lotus1-2-3および富士通OASYSなどワープロ専用機の文化があった。Windowsの独占化に伴い、これがWord、Excelに代わり、Microsoft Officeの独占となり現在まで続いてくるのである。そしてWeb時代になってOSに依存しなくてもよくなったときに、Web上のCGM(Consumer Generated Media)としてOfficeソフトを扱うことが可能になった。その先駆けがZohoであったといえる。


 Webサービスとしてならば、何も誰もが同じアプリケーションを使う必要はない。むしろ1つの文書をいろいろなアプリケーションで扱えていいはずである。それをこれまで制限してきたのがMicrosoft Officeだったといえるのである。ワープロ=Word、表計算Excelの業務はもちろん、公文書作成、研修や教育の場でまで1企業の特定のソフトウェアを購入して使い方を覚えなければならないというのは、やはりおかしな話である。


 急速にデスクトップからWebに業務のプラットフォームも移行しつつあるとき、Office文書の作成にはOpenOffice.orgなども含めて、選択肢がいろいろとあった方が健全である。何で編集しようが、文書さえ共通仕様で作れればいいからである。そうしたとき、やっと日本語にも対応(話題になりにくかった理由の1つ)してきているZohoがその1つの選択肢になっても不思議ではないだろう。他にもオンラインワープロではAdobeBuzzwordなどもある。


 とはいえ、Webサービス同士としては、やはりGoogle DocsZoho Docsが最大のものとなるだろう。Google Docsは他のGoogleサービスとの連携を行い、Zoho Docsは他サイトのWebサービスとの連携によって対抗していくようである。FacebookへのZohoの組み込みがその例であるという。競争があることによってサービスの質が向上して、いずれはデスクトップOfficeにとって代わるだけの存在になってほしいと思っているのである。