OpenOffice.org 3.0はどうなる

 最近では企業や地方自治体にも採用される例が出てきたOpenOffice.orgだが、メジャーバージョンアップして3.0になった。Microsoft Office 2007の評判はかんばしくないだけに、この先OpenOffice.org 3.0の位置づけはどうなるだろうか。

さらなる進化を遂げたOpenOffice.org 3.0 (ITmedia)

まだインストールして試してはいないが、日本語版も10/10頃にアップされているようである。注目すべき点は、3.0ではVBAが実行可能、Office 2007のファイルも読めるようになっているらしいことである。


 機能的な進化が中心で、インターフェースそのものの変化はないとのことである。これはインターフェースの変更で失敗しているとしか思えないOffice2007との違いであろう。バージョンアップで見かけのインターフェースをリニューアルすれば新しくなったと思わせて買わせるような商用ソフトと異なり、本当に利便性を追求するならばOfficeのように定着しているソフトならば、むしろ性急な変更は避けるべきだとも思える。


 インターフェースの変更がなされなかったのは、OpenOffice.orgが企業系のユーザを持つSunのStarOfficeソースコードをベースにしている関係ではないかという。少なくとも企業系のユーザならばインターフェースの変更は歓迎しない。安定している業務用ソフトならば10年間も変更されていないようなものも存在する世界である。ましてや誰がファイルも読めなくなるようなリスクを冒したいと思うだろうか。


 Microsoft Officeとの互換性もさることながら、このへんに今後のOpenOffice.orgの方向性が問題になってくるように思える。あくまでOffice2007の追随路線を追求していくのか、普及とともに独自路線を歩んでいくのかである。今回は機能的にはVBA、Office2007とのファイル互換性では追随しているものの、インターフェースではむしろ過去のものを踏襲する選択をした。そして機能拡張には多くのエクステンションのプラグインを導入するような形を取っている。これはFirefoxのような形に近いオープンソースならでは方法であるともいえる。


 もちろんソフトの進化にはどれだけユーザが付くかにかかっている。StarOfficeIBM Lotus Symphonyのユーザとも異なるかもしれない。それによって独自路線に進むか、あくまでMicrosoft Officeの亜流で居続けるかである。


 個人的にはOpenOffice.orgは、Google DocsZohoなどのオンラインOfficeとの連携を強めてほしいと思っている。手軽な文書はオンラインで、ヘビーな文書やデータを扱うにはオフラインでOpenOffice.orgを使うというような連携である。ファイル交換的にはすでにODFでは共通であるが、機能面でも連携を強化してほしいということである。いずれにしても無償でこれだけの機能のものが利用できるのは一般ユーザにとっては有難いことである。