Webは一極集中へ

 コンピュータの世界はハードウェアもソフトウェアも集中と分散を繰り返すというのが歴史が証明するところだが、ネットももともと分散だったものが集中化へと向かっているようだ。

Googleがロングテールから吸い取ったもの (ITmedia)

インターネット初期の頃は「ネットサーフィン」という言葉が流行語のようだった。インターネット体験に目新しさもあったことで、当てもなくリンクをたどってWebページを見て回るだけでも楽しい時代であった。そのうちWebの数がどんどん増えるにしたがって、Yahoo!のような検索サイトからポータルサイトが登場し、Webを見て歩くときのガイドとなった。もはやネットサーフィンのように目的もなくWebを見て歩くのも飽きてきたか死語となり、お気に入りのページを定期的に見る方が多くなった。


 Googleが登場して、素っ気ない検索キーワード入力だけの検索だったが、むしろそのシンプルさに目的を持ってサイトを探すにはうってつけのように感じられた。そして検索といえばGoogleにどんどん偏っていくことになる。それ以前は複数の検索エンジンそのもののリンク集を作っていたりしたものだ。今ではGoogleかたまにYahoo!しか使わなくなった。Microsoftさえ使わない。何かMicrosoftプラグインをダウンロードするページを見つけるときでさえ、Googleで検索して見つけたりするのもおかしなことだが、もっとも効率がよい。


 ブログやWikiが登場してから、1つのテーマに関する情報も飛躍的に増えて、悪く言えば玉石混交状態になった。ますますGoogleに頼らざるをえなくなった。それも検索ばかりでなく、GmailやMapsなど多くのネットサービスそのものも検索と連動しているので、Googleの方が都合がよい。ある意味、Googleに洗脳されてきたようなものだ。


 いろいろなネットサービスをその都度分散して使いこなすよりは、Googleだけで済ます方が日常的には楽である。かくしてここにネットサービスのGoogleへの集中化が実現されてしまった。ネットは分散処理というものの、別の意味での、Web上での行動の集中化がなされたということであろうか。


 OSやアプリケーションソフトウェアの集中化がMicrosoftによって実現されたとき、まさか現在のようなWebの発展とGoogleの集中化などが起こりうるとは誰も想像もしていなかっただろう。そして今度はクラウドコンピューティングによって分散したはずのサーバーの集中化が起ころうとしている。その中でどこが今度は主役になってくることだろうか。