ミニノートPC市場を狙うWindows 7

 すでにWindows Vistaに代わり、Windows 7へと話題が移りつつある。意図的なものかVistaの悪夢を断ち切りたいがためかはわからないが、不況であるに関わらず、その価格のゆえかホットなミニノートPC市場までも、MicrosoftにはWindows 7の広告に使いたい意図があるようだ。

ミニノートPC向けOSとしてのWindowsの将来は?(ITmedia)
ミニノートPC、購入者の9割弱がPCの中・上級者(INTERNET Watch)

 現在のミニノートPCでは、特に日本では各社ともにWindows XP Homeが組み込まれたものが出荷されている。たとえ建前上はVista搭載ということになっていても、実際にはダウングレード権を駆使して?Windows XPで使っているのが現状でないだろうか。わざわざVistaを使うためにミニノートPCを買おうという人は初級者を除いていないだろう。特にミニノートPCの購入者は中級者以上という統計もあるようだからなおさらである。ただ海外ではLinux版が出ているはずだが、日本では初めからこの選択肢が排除されている。「日本ではLinux版は売れない」という決め付けMicrosoftの圧力かは知らないが、こういうマーケティングには不満ではある。初めからLinux普及の芽を摘んでいるようなものであるし、ミニノートPCの本来の能力を理解しているとも思えない。


 結局、MicrosoftミニノートPCのブームに便乗してWindows 7のパフォーマンスの向上を図るように方針転換していくということなのだろうか。Vistaはセキュリティ強化という金科玉条を挙げて、やたら重たいパフォーマンスのものとしてきた。そのおかげでOSのバージョンアップというだけでなく、CPU、メモリ、HDDのリソースを湯水のように要求し、結局マシンの総入れ替えを要求した。それどころか過去のアプリケーションが動かなくなるという泣き面に蜂のような悲惨さだった。多くのユーザをこうした状況に追い込み、今度は新興市場のミニノートPCというわけである。


 Windows 7がミニノートPCでは快適に動くとアピールした会場では拍手喝采が起きたというが、それはMicrosoftのサクラか、自分ならブーイングしたいところである。まだ出てはいないWindows 7に乞うご期待と言う前に、Vistaをどうにかするように金融危機対策ではないが、早急に購入者には対策を示すべきではないのか。これをそのままにしておいて、いずれにしろVistaの負債を引きずるであろうWindows 7が快適ですと言われたところで、過去の経緯から信用する気にはなれないからである。


 各社のミニノートPCが電器量販店の店頭でも見られるようになって触ってもみているのだが、真っ先にOSがもう5年以上も前のWindows XP Homeしかないことに違和感を覚える。Windowsはどう見てもミニノートPCの本命ではないと思えるのである。といって代わりにVistaWindows 7と続けば快適になっていくかとも想像ができない。日本版でも早くLinuxを搭載した可能性を感じさせるモデルが出ることを期待したい。