クラウドの将来像

 最近のWe2.0関連の会合でもクラウドの話題で持ち切りのようだ。話題になるということは、まだこれからということでもある。対してWeb2.0の言葉はそれほど話題にならなくなった。それだけ当たり前のこととして定着したということでもあるのだろう。インターネットとしては次の段階にさしかかっていると言ってよいのだろう。

クラウドコンピューティングの未来(CNET Japan)

 ご他聞にもれず、クラウドに関してはいろいろな人がいろいろなことを言い、訳知り顔の書籍も今後多く出版されてくることだろう。「これを知らないとビジネスマンとして失格」の類のやつである(20年前ならワープロを使えないビジネスマンは失格だった)。


 それはともかく、Web2.0関連でも多くの用語が出現してなかなかイメージがつかみにくかったが、ネットワークはこういうとき、レイヤーに分割して物を考える場合が多い。そこでクラウドの単位についても、以下のようなレイヤーで考えるとよいという。

クラウドのレイヤー

SaaS
PaaS
flexible infrastructure
IT foundation


これまでのクライアント/サーバーのイメージでは物理的にLANの単位でネットワーク接続からアプリケーションまで考えた。TCP/IPのレイヤーが基本である。それはすべてクラウドでは「ITの基礎」の中に含まれてしまっていると考えてよいだろう。クラウドのユーザには見えなくてもよい部分である。その上に広大なインターネット上のサーバー群を仮想化して構成される「柔軟なインフラ」のレイヤーがある。


 より自由にはAmazonなどから提供されるサービスでは、この柔軟なインフラの上にユーザが自由にOSからWebアプリケーションまでを自由に構築できる。クラウド上での開発者のレイヤーであるといってもよい。ただしLAN上のサーバーとは異なって、より広大なリソースを使った環境構築、アプリケーション開発を行うことができる。これがPaaS(Platform as a Service)のレイヤーとなる。そしてその上に構成されるのがWeb2.0以来普通のサービスとなったSaaSのサービス、実質的にクラウドのアプリケーションレイヤーである。


 重要なのはこれらがクラウドの通信の1単位と考えることである。そして将来的には異なるクラウド同士の相互接続が期待できるようになるだろうということである。まさにネットワークはLANの単位からクラウドの単位へといった感じである。LAN同士が接続してインターネットやイントラネットになったように、広大なクラウド同士が接続して相互乗り入れをして、さらに価値を高めることになるというものである。


 将来的にはクラウドGoogleAmazonといった企業単位というより、成熟していけば世界的にビジネスや教育、医療といった分野単位になっていくのではないかと思うのだが、それらの異業種が相互接続してさらに価値が高まるということが、クラウド発展の動機にもなるのではないだろうか。