YouTubeが検索連動広告をスタート

 ここのところ、YouTubeにスポンサー提供ビデオや専用チャンネルが増えてきたが、Google得意の検索連動広告もスタートすることになった。いよいよYouTubeの動画ビジネスでの収益化を狙ってきたようだ。

YouTube,キーワードに合わせてスポンサード広告動画を表示する新サービス開始(CNET Japan)
YouTube、ライブの生放送に挑戦 (ITmedia)
20代は「テレビCMよりネット広告が効果的」(ITmedia)

 YouTubeの収益構造は以前から謎といえば謎だったが、インフラへの投資の速さに比べて収益が追いつかないというのが常識的な見方だっただろう。Googleによる買収により、資金的には余裕ができ、じっくりと動画による新しいビジネスモデルを打ち立てるべく、Googleは腰を据えて取り組んできたはずだった。


 蓋を開けてみれば、表面的には検索やGmailなどと同様に検索キーワードに連動して横に3行広告のようなものが表示されるものになった。ただ、現在のところは米国のみなので、「使用言語」をEnglish(US)にセットしないと、検索連動広告は表示されないようである。


 結局やっぱり広告ビジネスならば、なぜもっと早くYouTubeに検索連動広告を付けられなかったのかという疑問も残る。ユーザ投稿動画という性格と、スポンサーが何をスポンサードしたいのかというマッチングが問題の1つでもあったように思える。普通の検索ならば、同じキーワードでも変なサイトが検索されても、横にリンクのあるスポンサーがおかしいとは思わないが、変な動画だとそれをスポンサードしているかのような印象は結構大きいだろう。そのあたりの問題がクリアされるとの確信を得たので、Google Adwardsと同様の広告に踏み切ったのだろう。


 ただYouTubeの動画ビジネスはこれだけではないだろう。ほとんどネット動画のアクセス数での独占状態を築き上げ、多くの公的なチャンネルも開設して社会的ステータスも上げ、さらにはライブ放送を取り入れてきている。こうなると、ますますこれまでのテレビの領域に入り込んでくることになる。画質はともかく、単方向のテレビよりも双方向ではるかにユーザ主導で小回りがきくネット放送やビデオに次第に流れていくことが目に見えてくる。


 テレビのCMに影響されてモノを買うということも過去のことになっていくかもしれない。若い人はテレビよりもネットの広告の方が購買意欲をそそられるとのことである。テレビはなんとなく受動的に見たくもないCMを見せられているだけだが、ネットだとユーザが能動的に商品を検索したり、バナー広告をクリックしたりすることが多い。これも単方向と双方向の差であるといえるだろう。


 映画やアニメなどを制作する側には動画そのものが商品だが、YouTubeGoogleにとっては動画そのものも一般商品の売り手と買い手のユーザの間を介在するためのツールに過ぎない。ダイレクトメールと同じようなものである。動画ビジネスで収益が上がるようになれば、ネットの1つの歴史的な転換点となるかもしれない。