Googleのクラウドコンピューティング

 Googleの物理的に巨大なインフラを持ちながらのスケーラブルなサービスは、今となってみては、サーバー仮想化はともかくとして初めからクラウドのようなものだったといえるのかもしれない。多くのサーバー群がときどき故障したりクラッシュしたりすることが前提のシステムだった。もはや個々のサーバー運用の心配などは、少なくとも一般ユーザや部署のシステム管理者にとっては無用のことになるかもしれない。今後はそれらを前提にしてクラウドで何ができるかという段階になってくるのであろうか。

「今後のイノベーションはクラウドで起こる」--グーグルが日本で...(ZDNet Japan)

 GoogleクラウドGoogle Appsを中核として企業内システム、かつてのイントラネットの再構築に向かっているようである。検索は外部だけでなくネット内部へと向かう。内部の検索ほど緻密でなければならない。またGmailは単なるメールだけでなく、Google Appsの連携したネットサービスのプラットフォーム的役割を果たすことになる。GmailメニューからGoogleドキュメントや最近のビデオチャットなどを開き、文書を作成して、それをGoogle Sitesで内部で共有したり報告したりするというイメージであろう。そのとき個別のアプリケーションを起動してというイメージではなく、ブラウザでいくつかのタブを開いていれば事足りるようになる。そこには常にバージョンの違いやライセンスの数を心配しなければならないような、かつてのソフトウェアのイメージはない。


 Googleはインターネット上のコンシューマー相手にネット広告のビジネスを展開してきたわけだが、このクラウドの風潮を機にビジネスユーザの領域にも本格的に参入しようとしているように見える。そこはIBMMicrosoftの牙城だったわけである。そのときネット独自の共有機能はあるももの、OfficeがGoogle Docsだけで済むかどうかである。既存のシステムのクラウドへの移行、セキュリティの認識の問題などいろいろあるだろうが、ビジネスのジャンルでは結局、最後はそこが攻防戦になるようである。