GoogleとMozillaの関係

 MozillaFirefoxGoogleの検索バーの収入に頼っていることはよく知られた話だが、Googleが独自のブラウザChromeを出したことで、この関係を懸念する向きもある。2011年までは契約が続くので、あまり先の話を予想しても意味がなさそうにも思える。

GoogleはFirefoxを生き延びさせない?(ITmedia)
Mozilla、売り上げの大半をGoogleに依存(ITmedia)

 Mozillaは収入の88%をGoogleに依存しているのだから、確かにGoogleが契約を延長しなくなればMozillaの存続にも関わることになるだろう。しかしそれ以前に、2011年までブラウザをめぐる情勢がどう変化していくかであろう。ChromeFirefoxに代わり、IEを追い込む存在になりうるのか、単に数あるブラウザの一角となるだけなのかである。


 シェアの変動は今後とも注目されるところだが、1つのブラウザだけが独占状況になることも考えにくい。むしろますますネットのクライアントの中でのプラットフォームとしての役割が大きくなってくると、目的や環境によっての棲み分けができてくるようにも思える。Firefoxが一般向けのブラウザならば、ChromeGoogle Apps環境の中で使うには最適という形である。SafariIEもそれぞれApple環境、Microsoft環境でということになるだろう。ネットの背景としてはクラウドによるサービスとも関連づけられることになるだろう。


 FirefoxNetscape Navigatorの遺伝子を受け継いで、それなりのブラウザの進歩に貢献した。Mozillaという組織の将来とは別に、この流れはどういう形であれ引き継がれていく可能性は高い。仮にGoogleとの提携が切れて縮小せざるを得なくなっても、もともとオープンソース非営利団体なわけだから支持するユーザや開発者が存在する限り続いていくだろう。もっとも時代遅れになってユーザが離れてしまえば、それは歴史的役割を終えたことになるわけだろう。いずれにしろ、かつてのMicrosoftによるあからさまなNetscape潰しのようなことが、Googleといえどもできることにはならないだろう。それよりも2011年までには、ネットの世界にもっと大きな流れが起きて、それがブラウザの動向にも大きな影響を与えるという可能性の方が高いだろう。