Vistaリリースから2年の現実

 Vistaがリリースされてから、もう2年もたった。暮れの時期だったので新年度導入にVistaは間に合うのか、などという心配をしていたのも、今ではお笑い種に近い。今ではもうほとんど話題にもしたくないというのが本音だが、そう思っている人は世の中に多そうだということを知らせてくれる記事である。

VistaはWindows Me IIになる―ひっそり迎えた2歳の誕生日(ITmedia)

 2周年だというのにMicrosoft側からも何のアクションもないという。Microsoft自身が早くVistaのことを忘れたがっているのだとしたら罪深いものだ。Windows 2000からWindows XPへとバージョンアップしたときも、2000の方が良かったという人もいた。ただ2000は意味もなくOfficeが落ちたり不安定さを感じていたので、XPになって安定さが増したように感じられて、まだ抵抗感はなかった。


 ところがVistaになってからは、管理メニューからフォルダの場所まで、あちこち変わってしまって戸惑うことばかりである。XPのときに開けばあるはずのところに、肝心なファイルやらメニューが見つからないのだから始末が悪い。個別のファイルが見つからないという前に、このような分類にしたポリシーが全く理解できない。自分にとっては重要な設定だと思っているものが、メニュー一覧から見つからない。目をこらしてやっと見つけると、一番下のその他のメニューのようなところの中にある。Vistaばかりでなく、Office2007も同様である。重要な設定なので簡単にミスクリックしないように目立たないところや、階層深く配置しているのだろうか。


 それまでXPとOffice2003でなんとか慣れてきて、それなりに効率を上げて仕事ができていたものを、わざわざVistaを導入して多くの人を混乱させ煩わせて、莫大な非効率を生み出したその損害たるや、いかほどの額に上るだろうか。さすがに大企業ほどテスト導入をした上で、全面的に導入をするかどうかを決めただけに、このVistaおよびOffice2007の「不評」は正しく評価されたようだ。それが現実的に2年たっても10%程度の導入に留まっている証拠だろう。


 世界的に不況になっているさなか、唯一熱いのがミニノートPCの市場であるが、これにVistaが到底載るものではないことは致命的である。新規に購入しても、相変わらずWindows XP Homeのままにせざるをえないところが情けない。普通に考えてもタイミング的にVistaでなければならなかったはずである。ところがVistaが出た後にミニノートPCブームがやってきた。Vistaが陰謀ではないかと思えるほど贅沢なリソースを必要とする方向性と真逆のコンセプトだったから、あわててXPも延命せざるをえなくなった。


 そして早、MicrosoftWindows 7に期待を持たせるようなことをアナウンスしているが、現実はVista ver.2みたいなものであろう。信用を失った政治家の公約みたいなものだ。もうOSなどの時代ではないことは誰しも感じていることだろうから、もういい加減、OSは必要最小限だけの機能にするように大きく変えてほしいものである。