先行きが明るいIT分野はあるか

 「みぞうゆう」の、ではなくて未曾有の金融危機に曝されている年末を迎えているが、この影響を受けるのはIT分野も例外ではない。この先、明るさのありそうなIT分野は何なのか、あるいは金融危機脱出の突破口となれるようなIT分野というものは存在するのだろうか。

先行きが明るいIT分野は?―業界専門家が予測(ITmedia)

 と思って期待したのだが、専門家の予測と称するものではあまり大きな期待ができるものはなさそうな気がする。これは企業側の観点だけから見ているからかもしれない。


 まずオンラインソフトの普及がありそうだということである。企業としてはIT関連のコストも削減しようとしてくる。それはこれまでのような有料ソフトの支出を減らすこともある。そのとき代わるのがオンラインソフトの導入、SaaSというわけである。これまでオンラインソフトでは儲からないと消極的だった企業まで、オンラインソフトの公開、サポートなどに本腰を入れてくるかもしれない。Officeでいえば、ユーザ企業がGoogle AppsZohoといったものとの置き換えにどれだけ真面目に取り組むかということである。Microsoftでいえば従来のOfficeユーザをオンラインOfficeを出すことによって引き止めて、その何割かに有償のソフトを買って貰うというビジネスにしていかざるをえなくなるだろう。


 次はモバイルアプリの進展である。特にiPhoneがきっかけになっているのだが、こと国内に限っていえば、これはあまり当てはまらないことになるだろう。iPhoneも発売されたとはいえ、携帯分野では日本は孤立化しており、求められる携帯アプリもお財布だとかワンセグだとかゲームとかであり、ネット経由のビジネスアプリの分野では国際的な流れともあまり一致していないように見える。


 最後にセキュリティの重要性は高まる一方なので、セキュリティ分野が不況にも拘わらず伸びるというわけだが、ユーザ企業からすればセキュリティだけでビジネスになるわけではないので、これは投資ではなくてむしろ経費の方だろう。セキュリティのために経費がかかることは決して明るい材料にはならないだろう。というわけで、あまり良い話があるとは思えない。


 個人的な予測でいえば、クラウドの導入に成功する分野が伸びそうに思える。単にインフラにかかるコストを削減できるということだけではなくて、クラウド特有のスケールメリットを上手く生かすことによって新たな分野の展開が可能になるからというわけである。ここでも既存の固定観念から抜け出せないところはうまくいかないだろう。逆にどこかで成功例が出ると、それに追随する企業が続々と増えて活況を呈するようになるかもしれない。