ネットブックはブームから定着へ

 ミニノートPCには早くから注目してきて何度か記事にも書いてきたが、ここに至って完全に定着してきており、ネットブックという言葉も定着したようだ。言葉の響きからは、自分は昔500ドルPCと言われた「ネットワークコンピュータ」のことも思い出してしまう。あるいはどこかのメーカーが製品名に使っていそうなので、あまりネットブックという言葉はどうかなと思っていたのだが、ここにきてこの名前に定着するようである。

ネットブックはブームから定着へ--軽量・小型PCを比較(SSD編)(CNET Japan)
ネットブックはブームから定着へ--軽量・小型PCを比較(HDD編)

Eee PC発売当初の頃は、パワーユーザのPCの2台目か3台目の位置づけと思えたが、今では初めてPCを購入する人にも第1候補にもなりうる様子である。なんといってもこれは価格の問題である。かつてノートPCを購入しようとすれば20万円、30万円は当たり前、デスクトップPCが10万円台を切った頃でも10万円台後半は出さなければならなかった。小型になるほど精密だから価格も高くなる、という神話?を信じてきたわけだが、その観念もネットブックの普及によって崩壊しそうである。500ドルという価格も、今の円高は別にしても十分に達成できているし、さらに400ドルPCかそれ以下の価格破壊すらしそうである。


 さてこれだけ続々と各社のネットブックが出揃ってくると、要求されるスペックもさまざまになる。大きく分けると、SSDかHDDの搭載かの違いになる。そしてこれがどういう使い方をするかの別れ際であるようだ。すなわちあくまで価格の安いノートPCなのか、文字通りネットブックとしての利用をするためなのかということだろう。前者の目的ならば、できるだけディスク容量の大きいHDDを搭載したモデルとなる。通常のWindowsの意味でMicrosoft Officeを初め、アプリケーションをできるだけインストールし、またネットからダウンロードした通常のファイルや動画まで保存したいなどと考えれば、CドライブもDドライブも容量ができるだけ大きいに越したことはない。当然価格にも影響する。そしてアプリケーションの目的からしても、当然Windows XPである。


 しかしそれはミニノートPCを多く売るためのスペックである。わざわざネットブックと呼ぶからには、それに見合った活用をするのが本筋なのではないか。容量は大きいに越したことはないが、やはりここでは効率からしてもSSDである。アプリケーションそのものを多く詰め込む必要はない。つまりネットブックはネットを介してSaaSの利用が中心であり、あるいはシンクライアント的使い方をするのがこの名前に見合った使い方であろう。SaaS中心であればWindowsでなくてもよいことになる。だからそういう人向きにSSDUbuntu Linux搭載か、もうOSレスの機種も出してほしいくらいなのである。国内ではLinuxモデルを出しているのはDellだけである。


 そう考えれば、今のブームから定着させているのは、前者の目的で買っている人が多いということなのだろうか。そうすると今後ますます容量が大きい、処理が重いネットブックになっていくのだろうか。これはかつてのノートPCが辿った道でもある。せっかくB5薄型PCが出たのにどんどん肥大化して、薄型PCが流行らなくなったことがある。。


 またCドライブの容量が16GBだという。そういえば、自分が5年ほど前のWindowsXP時代に、店頭展示品だからということで10万円ちょうど(Officeなし)で買ったSHARPMebiusはディスク容量が15GBである。Windowsを入れたままなら、これとHDD付きのネットブックとどれだけ違うことになるのだろうか。いやWindowsを入れている限り、たいした違いはないだろう。であればMebiusWindowsを潰してUbuntuを入れればよさそうだが、Officeとウイルス対策ソフトのライセンスを失うことになることと(プレゼン用にPowerPointだけでも残したい)、以前のバージョンではDドライブへのインストールができなかったことから決行していないだけである。いずれにしろノートPCにWindowsを入れる意味がなくなっているのである。そこにいくら5万円台とはいえ、またわざわざWindows XPマシンを買う必要がどこにあるのかということにもなってしまう。


 もちろんUbuntuにしてもなるべく高いスペックはほしい。ただそれはOSに食われるものではない。そうすると現実的にはWindowsXP搭載のミニノートPCを買い、Windowsを潰すかDドライブにUbuntuをインストールして実質的にネットブックに生まれ変わらせるというのがよいということになるのだろうか。