Red Hat Enterprise Linux 5.3がリリース
Linuxにはいろいろなディストリビューションが存在するとはいえ、実際にサーバー運用するのに何を採用すべきかというのは、やや判断の難しいところである。中でもRedhat系の本家ともいえるRed Hat Enterprise Linux(RHEL)が5.3にバージョンアップした。
「Red Hat Enterprise Linux 5.3」がリリース --「Core i7」対応、仮想化機能も強化(CNET Japan)
Linuxはオープンソースなのだから、わざわざ有償ソフトを買うまでもないといえばそうなのだろうが、ミッションクリティカルな運用系となればそうもいかない。実際Redhatはソフトを売っているのではなく、保守やサポートを売っていることになっている。結構な価格のように思えるが、それでもライセンスの縛り付きのWindows Serverでシステムを固めるよりも安くつくという主張である。
実際に有償ソフトを買ったことがあるのは、ただのRedhat5あたりだけで、あとはRedhat9まではフリー版を用いていた。それ以後、フリーのFedoraと有償のRHELに分かれて現在に至っている。Fedoraはまさに実験用システムで、半年ごとにバージョン番号だけ進んでいくが、安定性の不安から、自宅での気楽なサーバーとしてはともかく、現実の運用系としては採用しがたい。Fedoraの成果がRHELに取り入れられるとはいえ、明らかにFedoraとRHELは別の方向へ進んでいるようである。しかも、有償のRHELも自分が管理者になるシステムとしてはすでに縁がなくなっていた。
そんなRHELに最近再び関心を高くしている。なぜかといえば、Amazon EC2はじめ、多くのクラウドのベースとなっているOSにRHELが採用されているからである。GoogleやIBMなどもおそらくそうだろう。その一番の要因は仮想化環境が安定しているからと思われる。クラウドの標準の仮想化ソフトはXenであり、Redhatには標準で採用されている(Fedoraでは方針を変えたようである)。そのようなニーズに応えて仮想化機能はさらに強化されていきそうだ。もはやOSそのものの機能になりそうである。
とはいえ、実際にはRHELを購入することはないが、その互換システムとされるCentOSを現実には採用している。Fedoraよりも運用にはこちらが向いているといえるし、実際バージョンごとにサポート期間というものも設けられている。ソフトウェアのクローンとしても、Fedoraよりは安定していて十分に使えそうな感触を得ている。そしてAmazon EC2を体験するシステムを使ってみて、CentOSも普通に使われていることがわかったからである。RHELの知識を身につけて、自力でCentOSを運用するのがベストかと思っている。
あとはUbuntuのServer版があるが、こちらも最新バージョンで仮想化機能が付け加わったとはいえ、サーバーとしての運用の評価はまだ未知数である。というわけでクラウドとその技術を意識するならば、RHELとCentOSに注目すべしというのが現時点での結論である。