Gmailがオフラインでも利用可能に

 しばしば小出しのように機能が付け加わっているGmailがオフライン機能に対応する。英語版のユーザからの試験的運用のようだが、近日中に全ユーザで可能になるという。すでにいくつかのサービスには適用されているGoogle Gearsによるオフライン機能による実現である。これによって、ネットに接続できていない状態でも、それまでのキャッシュを利用してGmailのメールの読み書きができるようになるという。

「Gmail」がオフラインで利用可能に--グーグル、新機能の試験運用を開始へ(CNET Japan)
「Gmail」の今後--プロダクトマネージャーに聞く(CNET Japan 1.20)

 Googleのサービスは数年前まではAjaxばかりが話題になっていたように思う。Googleだけでなく、他サイトのWeb2.0的なサービスにもAjaxが標準的技術のようになった。それに対して、ここ1,2年はGoogle Gearsの話ばかりが聞こえてくるようになった。これは従来のデスクトップアプリ側からネットに接続するというスタイルとは逆に、ネットワークアプリ側からオフライン状態のデスクトップにアプローチするものといえよう。これが物語ることは、クライアントPCのプラットフォームがデスクトップからブラウザに移ってきたということである。


 GmailWebサービスのポータルのようになっている。決してメールそのものだけが重要なサービスだとも思えないが、メールの画面がWebサービスへの開始点になっていることは、どのベンダーのWebサービスでも同様である。OpenIDなどを見て感じることは、メールそのものよりもメールアドレスが認証のために必要で重要なもののように見える。GoogleYahoo!のIDだけでも、共通でいろいろなサービスに入れるようになってきた。

  
 そしてGoogleがなぜこれほどオフラインにこだわるのか、といえば接続が安定しない携帯への対応もあるが、クラウドを意識してのことであるという。仮に組織のサーバーインフラなどをGoogleクラウドに移行したとする場合、クラウドとの接続に何らかの障害が起きると、いっさいデータにアクセスできなくなる不安が生じる。Google Gearsに頼れば、キャッシュを利用してオフラインでもある程度の操作ができるようになり、利用者には安心を与えることになるからだろう。クラウド時代のプラットフォームの主導権争いは、まだ始まったばかりであろう。