メールの9割はスパム

 何年か前までは「世界のメールの6割はスパム」と説明していたこともあったが、とうとう9割方スパムになってしまったらしい。もはやメールという仕組みそのものの限界、水際対策ではどうにもならない状態となっているようである。

メールのほぼ9割は悪意あるスパム(japan.internet.com)
企業に届く正規メールは1割以下に(ITmedia)
企業に届くメールのうち悪意のないものは8.41%、Panda Security(INTERNET Watch)

 スパムで怖いのは自身のマシンが被害を受けることよりも、マルウェアに感染した後、スパム発信源となって知らぬ間に加害者となってしまうことだろう。世界中にスパムが増大した要因はボット感染したPCの増大のためで、ゾンビサーバーよろしくスパム発信源となってしまっているようである。それをを促進したのはUSBメモリ経由の感染も影響しているようである。


 インフルエンザの感染を防ぐ話と似ていて、感染した危険のあるPCをうかつにネットに接続できないことになる。USBメモリも持ち歩いて見知らぬPCにいきなり挿したりすることは、もはやすべきでなくなっている。根本的な仕組みから見直さなければならないようである。自分もかなり複数のメールアドレスを持っているが、何もしなくてもスパムが来るようなアドレスは使わなくなる。自分だけにスパムが来るのでなく、そのメールサーバーのユーザ皆に来るようでは、そもそもスパム対策があまりなされていないサーバーなので、ユーザレベルでいくら水際対策をしても仕方がない。セキュリティの基本は「使わない」「接続しない」が最善である。


 あとは、スパムが来るようになる自分のメールアドレスがどこで採取されているかである。Webページやブログなどで、メールアドレスを公開してしまっていては、自動採取されてアウトになるだろう。といってアドレスを公開しなければならない場合には、面倒だがメールアドレスを画像として貼り付けたりすることもある。またメールを出した人のPCが感染していてもアウトになるだろう。いずれにしても、借り物の公開されているアドレスでは、スパム発信源にどこから収集されているか、見当が付かない。なので使わないのが一番である。


 とはいうものの、使わないことは事実上不可能なので、現在はほとんどGmailに転送して使っている状態である。プロバイダにログインしなくてもメールを転送できてスパムを強力にフィルタリングしてくれるので、Gmailでスパムで困ることはほとんどなくなった。組織で独自管理しているメールサーバーは、スパムだらけでお手上げになっているというのが実感である。世界のメールの9割がスパムになっていると聞けば、それも納得である。しかしGmailの水際作戦で何とか守られているとはいえ、本質的な解決にはなっていない。スパムに滅ぼされるようで悲しいが、もはやメールも古い世代のサービスで限界が来ているわけで、使われなくなるサービスであろうと思われる。すべてWebで2人だけが共有する文書を持てれば、それがメールの代わりにもなるだろう。メールアドレスはサイトに入るためのID名としてだけ残るに過ぎない、ということになるだろう。