Seagateが2TBのHDDを発表

1TBの容量も普通になってきたHDDであるが、何気なく2TBのHDDもSeagateから発表されている。これは、ますますネット上を含めてストレージ容量は増すことによって、各種サービスへの効果が現れてくることが予感されそうである。

Seagate、2テラバイトHDDを発表(ITmedia)
富士通、HDDヘッド事業から撤退(ITmedia)

 大容量ディスクといえば世間的にはコンテンツと結びついてDVDやBlu-rayばかりが話題になりがちだが、実際のところネット時代に大きく貢献しているのはHDDの進歩であろう。DVDはいくら大容量になろうとオフラインメディアであることに変わりはないし、もはやHDDの容量に追いつくこともないのでバックアップ用メディアとしても、あまり用をなさないようである。大容量の世界での本当の勝利者はHDDだといえるのかもしれない。


 個人でも160GBや250GB内蔵のPCは当たり前、外付けHDDの500GB以上の容量のものを装備していれば、総容量ではすでに1TBに到達している場合が少なくない。1TB単体のものもすでに市場に出回っているが、それにさらに単体で2TBのHDDの選択肢が加わるわけだ。それによってさらに下の容量のHDDの価格も下がり、ますますPC全体の装備するHDD容量が大きくなっていくことだろう。金融危機にあっても、価格が下がっているわけだからこの傾向は変わらない。


 さてこれだけ大容量になると、どういう利用の仕方をすればよいのかということになるだろう。おそらくPC雑誌や多くのネット記事のテーマにもなっていくだろう。自分としては、これはネットワーク時代ならでは大容量化であると考える。昔のようなスタンドアロン型でPCを使っていた時代であれば、動画編集専用マシンであるとか、よほど特殊な目的のPCでなければ、これだけの容量を使えることはなかった。しかしネットが当たり前になったことによって、大容量HDDを持つPCを簡単にファイルサーバー化したり、あるいはP2Pでもよいが、ネットで共有して利用するという方法が見えている。プリンタが1台のPC専用で使うのが非効率であるように、大容量HDDもネットワークストレージとして使うようにするのが、適切な利用法であろう。


 またネットブックのようにHDDの代わりにSSDを搭載するケースが出てきている。実際ローカルドライブには多くのファイルを置かずに、ネットに接続して大容量のストレージを使うという棲み分けが鮮明になってくると思われる。単体のPCにソフトやらデータやらを「ディスクの肥やし」のように詰め込むのは古臭い発想になるだろう。


 またシステムのストレージとして考えた場合、サーバー仮想化によって複数のOSを1台のPCに入れることになる。メモリも多く必要だが、仮想化が普通の使い方になってくることを示唆するような気がする。問題はこれだけの容量のバックアップだが、これも仮想化によって考え方が楽になるかもしれない。ディスククラッシュなどに備えて、定期的にバックアップするにも仮想化されたOSごと大容量HDDを持つバックアップサーバーに丸ごとコピーしておけばよいだけの話になる。


 Seagateのように以前から同業者の吸収、合併を繰り返して寡占化を進めている企業がある一方、最近の富士通のようにHDD事業からの縮小、撤退をするメーカーもある。PC自体、単体価格では商売にならなくなっているので、独占に近いスケールメリットを出せなければ生き残れるメーカーは少ないのかもしれない。