テクノロジーのむかつく20のこと

 ネット周りのありふれたテクノロジーの事情について、むかつく(drive me nuts)と思うことを諧謔的に言っている面白い記事があった。ネットについてそれなりに理解していないと面白みも理解しきれないかもしれない。少し自分なりに解釈してみよう。

テクノロジーにまつわる「わたしがむかつく20のこと」(ITmedia)
20 Things About Technology that Drive Me Nuts(eWEEK.com)

 日本だけのことかと思っていたら、米国でも似たような状況であるという印象である。

1)コメント欄の一番上に最新コメントが来る
人気ブログや掲示板もそうだが、最新コメントが上に来ると議論の流れがわかりにくい。最初のコメントが良いものとは限らないが、問題提起をしたというプライオリティ程度はあってもよいだろう。そういえば、はてなは古いコメントが上に来る。


2)ステータスが始終アップデートされる
リアルタイムでのコミュニケーションもほどほどにというところか。仕事に集中したいのに、どうでもいい電話に煩わされるようなものだろうか。


3)勝手に動くアプリケーション
アプリケーションによるが、他のアプリケーションを勝手に検知してそれまでのデフォルトだった設定を変えてしまうのは困りものだ。メモリに常駐したがるソフトも日常には無駄なものも多い。一番よいアプリは、他のソフトに影響を与えず、インストールもフォルダのコピーだけで済むようなものだろう。


4)使えない新バージョン
多機能になった新バージョンよりも、シンプルな旧バージョンの方がよかったというソフトウェアも多い。オープンソースだったら別のソフトに鞍替えするだけではある。


5)携帯キャリア
キャリア別だけでなく、日本は鎖国的な携帯の高すぎで同じインターネットとは思えない状況だ。このままだとスマートフォンで世界に大きな後れを取るのではないか。


6)RIAA(全米レコード協会)
どこぞの国の、何とかラックと同じような状況であるようだ。「もし可能なら、彼らは時間をさかのぼってインターネットの誕生を阻止するだろう」には笑った。


7)悪法
日本でも著作権ばかりでなく、インターネットを規制したがる法制化にご執心な人たちは多い気がする。そこにあるのは性悪説なのだろうか。何ともありがたい話である。


8)テクノロジーへの熱狂
iPhoneはじめ、アメリカでの熱狂にそのまま日本が影響されることは多い。「全米が熱狂した」みたいなフレーズに特に日本人は弱いのだろう。ただ日本人は醒めるのも早い。


9)プライバシーの喪失
Webサイトへの会員登録時に、いくつか個人情報が求められるだけでなく、サイトを見てあるけば全部それらが履歴として記録されていて表示されるが、あまり詳しすぎると「足跡機能」のように、逆にサイトから遠ざかりたくなる。


10)リスト
ほとんど何もしないし読む気にもならないメニューが続いて[次へ]のクリックを繰り返すことのばかばかしさのことだろうか。その割りに何かカスタマイズしたり、オプションを探そうとするときに限って、そうした機能はなかったりする。


11)スパム
スパムがお手上げ状態なのは、どこの国でも同じようだ。やはりメールシステムそのものがもう寿命がきているということなのだろう。


12)ベンダーの囲い込み
WindowsやOfficeを皮肉ったものだろうか。他のOSも似たような状況はあるが有料でシェアが違いすぎるだけに、ネット時代にはもはや時代遅れのはずだが、まだ当分は悩まされることになるだろう。


13)誇大宣伝ワード
紙媒体の広告、宣伝と違って、ネットの広告、PRだとフィッシングとあまり内容的に区別が感じられなくなるのは自分だけだろうか。


14)ビジネスモデル特許
ITブームの頃、ネットでのビジネスモデルということがずいぶんと強調された。この頃の米国特許がいろいろな足かせにもなっているかもしれない。


15)セキュリティのお粗末さ
自称セキュリティの専門家ほど高度なハッキングやら外部からの侵入の手口やらを、もったいぶって講釈する。また非専門家もそうした高度な手口にばかり関心がいく。だが最も現実的なセキュリティ対策は「敵は煩悩時にあり」という標語の戒めであるようだ。


16)テクノロジー宗教戦争
WindowsMacかというのは今は昔の話。その後Linuxが加わったが、一般ユーザが宗教論争するようなものではなさそうだ。というより、もはやOSが問題である時代ではなくなった。


17)いつまでもβ
Googleはむしろβのままであることを売りにしているようにさえ思える。パッケージでソフトを買っていた時代はソフトは、バグフィックスはともかく固定されたものだったが、SaaSになると機能アップはサーバー側だけでやればよいから、朝起きてみたらWebサービスが新しくなっていたということはしょっちゅうである。この可変さをβと称しているのだろう。パッケージ時代のβの感覚だけで見るとバグだらけのソフトという先入観を持ちかねない。別の表示を考えた方がよいかもしれない。


18)いじれない製品
Mac製品のことはよく知らないが、ビジネス向きソフトだと、あえてカスタマイズの自由度を制限している(機能がない)ものもある。サーバー側で一元管理できるようにするためである。Home版はカスタマズ可、Business版はカスタマイズ不可のように別バージョンにするべきだろう。


19)EULA(使用許諾契約書)
誰も読まないのがこれだろう。これはユーザが読んで納得するものなのではなく、何か不具合があったときベンダーが責任回避するための文書だろう。最悪訴訟になったら、ベンダー側の有利に働く証拠に使えるものなのだろう。10)の[次へ][次へ][はい]だけの典型。


20)いつでもオンライン
2)とも関連するが、他人の今現在の行動がPC、携帯で常にわかったとしても、それに意味があるのは限られた人だけだろう。分刻みのスケジュールをこなす有名人とかか。それ以外は単なる暇か寂しがり屋なだけか。