クラウドへ向かうUbuntu 9.10

 まだちょっと気が早いが、Ubuntu 9.10(コード名:Karmic Koala)の方向性が発表されている。まだ4月に9.04が出る前ではあるが、9.10はクラウドへ向かう方針が明確にされているようである。

リリース名は「Karmic Koala」--Ubuntu 9.10の一部情報が明らかに(CNET Japan)
「Ubuntu 9.04」の詳細が明らかに--開発コード名は「Jaunty Jackalope」(2008.9.10)

 それによるとAmazon EC2を意識した内容となりそうとのことである。EC2ではRedhat Enterprize, Fedora, SUSE, CentOS, Solarisなどに加えてWindows Serverも利用可能な仮想OSの対象になったばかりだが、Ubuntuも8.10で仮想化への対応がなされ、本格的にクラウドで使えるOSになるということだろうか。


 Ubuntuといえば、どちらかといえばクライアントOSとしてのLinuxの評価ばかり聞かれてきたが、Serverとしての運用の評価は未知数だったように思う。どこかできちんとした評価はなされているのかもしれないが、自分としては認識不足である。実は自分も8.10の実験サーバーの1つを公開しているが、公開といっても内部の人間しか実質は利用できないから、まだまだ評価は難しい。


 ただ、クラウドの研究分野では積極的に利用されている。そこは完全オープンソースの強みであるからだろう。RedhatにしろSUSEにしろSolarisにしろ、表向きはオープンソースでも運用面ではやはりひも付きである。少なくとも研究・開発段階では、Ubuntuに優位性が出てくることも納得できる。


 EC2の中でUbuntuを使えることと同時に、Ubuntuそのものでクラウドのようなものを自らも構築できるようになりそうである(Eucalyptus)。仮にサービス本体はEC2で提供するとして、そのバックアップになるサーバー群をクラウド化して自社に置く、などという運用も可能になるかもしれない。あくまでバックアップだから高額な運用費用は必要としない。そうした可能性も読み取れる発表である。いずれにしても、今年はますますクラウドへの傾斜は大きくなりそうである。