V・サーフが語るインターネットの課題

 インターネットの父、TCP/IPの創設者であるヴィント・サーフGoogleに移ったことを知ったときは驚いたものだが、そのサーフが現在のインターネットの課題について語っている。こうした先駆者の言葉には示唆に富んだものが多いと思える。 

「インターネットの父」V・サーフ氏が語るインターネット--その課題と未来(CNET Japan)
Vint Cerf: Despite Its Age, The Internet is Still Filled with Problems

インタークラウド:インターネットの拡張
Internetに対して、その拡張であるInter-cloudという言葉は今後定着していくことになるのだろうか。確かにCloud ComputingのようにComputingが入るよりは、しっくり来る気はする。Grid Computingなら、いかにもComputingのようなイメージがあるから構わないのではあるが。
 クラウドの状況は、インターネットの黎明期のARPANETの状況にも似ているのだという。他のネットワークの状況がわからないのにどうやって通信できるかという時代に対して、現在は相手のクラウドのことがわからないのに、どうやって異なるクラウド同士が連携できるか、ということなのだろう。


IPTVと未来の広告
IP電話は事実上決着が付いているが、現在はネットでテレビを見られるのがどういう形に落ち着くかという時代になってきている。単にテレビ番組が見られるというだけでなく、従来のテレビに時間が束縛される常識だった時代とは違う方向に進むだろうし、ダウンロードして好きな時に見るというスタイルが可能になる。同時にそれはテレビのCMも変わることを意味する。現在のようにテレビ広告を「侵略的」に視聴者に見せるという手法は適さない。関心のある人だけビデオを中断しながら、CMを見てあるいはそこから注文もできる、というスタイルに変わっていくかもしれない。


「ビット腐敗」問題への対処
すべての情報はデジタル化されてきているが、問題は将来にこの情報を確実に読み出して解釈できるアプリケーションが存在するという保証がないということである。間接的にMicrosoft Officeなどへの批判とも受け取れる。XML形式の文書が標準化されてきたとはいうものの、すべての文書がそうなるという保証はまだないわけで、情報が膨大になる一方の現在ではストレージ容量は確保されたとしても、すべての文書が将来にわたって解読可能になるかどうかは不透明である。紙の古文書は解読可能だがデジタル文書は解読不能などというおかしな状況になる。デジタル情報はカビは生えないはずだが、こうした事情をビット腐敗と呼ぶのだろう。