ミニノートPCはセキュリティの穴か?

 ネットブック(ミニノートPC)はセキュリティホールが生じやすいか。価格が安いだけにそうした懸念があるようだが、果たしてそうなのだろうか。安かろう悪かろうの先入観があるような気がしてならない。

ミニノートPCはセキュリティの穴になる―専門家が指摘(ITmedia)

 アーキテクチャの上でセキュリティーホールが生じやすいというわけではないようである。価格が安いだけに、初心者はセキュリティら対策ソフトを導入するのをケチるかもしれないことと、上級者はパフォーマンスを向上させるためにセキュリティソフトを停止させたりするのではないかという懸念である。また性能的に十分なセキュリティ機能を実行できないネットブックを、情報漏えいを恐れる企業ユーザは敬遠するかもしれないということである。


 しかし、全くの言いがかりというか、企業のITに対する実態を捉えていない批評のような気がしてならない。そんなことを言い出せば、ネットブックならずとも従来型のノートPCでも事情は同じだろう。OSにWindowsを想定しているようだが、経費節約のために初心者にしろ、セキュリティソフトを入れないということは考えにくい。欲しくもないWindows XPがプリインストールされていれば、通常はSymantecやらTrendmicroやらのセキュリティソフトはプリインスールされている。仮にWindowsを自前でインストールするとして、セキュリティソフトがバンドルされていないケースではフリーのセキュリティソフトを使うだろう。自分でWindowsをインストールするくらいのユーザならば、その程度は常識である。スパイウェア対策やパーソナルファイアウォールについても同様である。価格が安いから、何も知識がないユーザが全く無知な使い方をすると予想するのだろうか。


 それどころか、現在は変わってきたかもしれないが、もともとミニノートPCはLinuxを搭載したものが最初であり、上級ユーザが多かったはずである。LinuxならばWindowsほどセキュリティに関する危険は少ないWindowsを入れたために初心者が増えたから危険が増すというならば、それは普通のノートPCでも条件は同じことである。


 また企業が敬遠するというが、それは個人ユーザと同じ使い方をするという前提であるからで、そうはならないだろう。企業が使うとすれば、シンクライアントとして使うだろうからである。業務ソフトはほとんどSaaS型であり、データもサーバーにだけ置き、クライアントには残さない。USBメモリのような外部にオフラインでデータを持ち出すようなことも禁止される。このような使い方であれば、ネットブックのスペックでも十分だからである。従来のノートPCやデスクトップPCにいろいろな制限を付けて使用するよりも、初めから容量も小さく、余分なアプリケーションが入っていない方が、はるかに管理もしやすくなる。サーバーへの依存度は増すが、クライアントPCで浮く費用分をサーバー機能の増強に回すことができるだろう。システムが入れ替わる時期に、前記の理由と現在の不況の現状を考えれば、むしろ従来のPCよりもネットブックの導入に、大きく傾くことになるだろう。