Google Voiceプレビュー版の発表

 Googleが電話とメールやWebとの統合を目指すGooglge Voiceという新サービスを発表した。今のところ、アメリカのみの話になりそうだが、IP電話の将来に向けて、いずれ日本の電話事情にも影響を与えることになりそうだ。

携帯/固定電話を1つの電話番号で―「Google Voice」プレビュー版(COMPUTERWORLD.jp) 
「Google Voice」公開、留守電をテキスト化してアーカイブ(INTERNET Watch)
Google Voice Features (Google)
Here comes Google Voice(Official Google Blog)

 それによれば、電話番号というものをWebを介して統合できるし、テキストデータであるメールやSMSとボイスメールの橋渡しもできるようになるとのことである。確かに現在は固定電話と携帯電話を使い分けているどころか、別物のようになっているのが実情である。固定電話は音声通話のみ(FAXもあるが)、携帯はむしろメールやカメラなど付加機能の方が中心になっている。転送はできるものの、両者は別世界に近い。


 しかしどちらもインターネットを介して電話するようになれば、その境界は次第になくなっていくことになる。電話という旧態の固定概念が変わっていくことになるだろう。Google Voiceの前身である「GrandCentral」では、1つの電話番号から、固定にも携帯にも同時に着信音が鳴るようなサービスであったという。Google Voiceでは、さらにボイスメールや留守番電話のテキスト化、メールボックスへの配信もできることになるという。Googleからすれば、Gmailが複数のメールアドレスを束ねる役割をすることと似たようなものだろう。だんだん音声とテキストの境界もなくなってきそうである。それは固定電話と携帯電話の違いもあまりなくなってくることを意味する。ということは、簡単にいえば従来の意味での固定電話は必要なくなるということでもある。実際に欧米では企業から固定電話を廃止する動きもあるという。


 Google Voiceが正式になれば、日本の電話でも使ってはみたいが、なかなか状況は難しい気がする。なぜならこうしたサービスが一般化してしまうと、一番打撃を受けそうなのはNTTはじめ通信キャリアだからである。特に電話番号に対して基本料金を課金しているわけだから、電話番号の意味を軽くしてしまうようなサービスの普及は困ることになるだろう。そもそもIP電話になれば、原理的には電話番号すら必要ないはずだからである。しかし事業の既得権のように、電話の仕組みは変わっても、電話番号に対する課金は維持し続けたいだろう。それに加えてパケット料金の体系である。だいぶ値下げはしてきたが、固定電話と携帯が事実上統合されるような形になったとして、今のような体系が維持されるのだろうか。インターネットの接続料金だけでなぜ電話が使えないのか、ということにもなりかねない。


 すでに、SkypeだのYahoo! Messengerなどは既存の電話抜きで電話の機能を果たしている(Google Talkもか?)。そこには国際電話という概念もない。これらはP2Pだが、Webでホスティングさせるシステムにすれば、音声のテキスト化を含めて、もっと広いサービスも可能になる。一番困るのは電話会社だということになる。Webでテレビが見られてしまうと、放送局やテレビメーカーが困るようになることにも似ているかもしれない。