IE 8 は3/20リリースか

 すっぱ抜きかリークかはわからないが、IE8が3/20にリリースされるという情報である。土日は休日で、週末にもあまり新しい情報はないものだが、イベントや記者会見やらで関係者が正式発表前にポロリと洩らしたことが、ネットで全世界をめぐるニュースになることもある。関係者がブログで先行して公表することもある。

「Internet Explorer8」のリリースは3月20日-マイクロソフト台湾法人が言及(CNET Japan)
マイクロソフト、IE8の「リリース候補」版を提供開始(1.27)
フォトレポート:絵で見る「Internet Explorer 8 RC 1」(1.28)
マイクロソフト、Windows 7にIE8を無効にできるオプション..(3.5)

 すでにIE8 RC1が1/26にリリースされており、いつ正式版がリリースされても特に驚きはしないが、問題はその内容である。FirefoxにしろGoogle Chromeにしろブラウザ実行のパフォーマンスの改善を実現しつつある。特にWeb2.0の進行にともなってSaaSのページが増加していることから、JavaScriptAjaxの実行のパフォーマンスが最大の問題であった。


 Microsoftは、どうやらJavaScriptのパフォーマンスに関しては、IE8でもFirefoxChromeには及ばないことを認めているようだ。ただページ全体のロード時間では優位に立てるとしている。こればかりはいろいろな環境で体感速度で判断するよりはないだろう。


 長かったIE6の独占状況は、ブラウザ全体の進歩を停滞させたといわれる。AjaxがWebの基本的技術のようになっても、IE6だけは標準からはずれていたため特別な処理を加えなければならなかった。CSSへの対応などでもおかしなところがしばしば見られた。またセキュリティの問題が指摘されたのもIEが多かった。そんなことが長かったために、すっかりIEには負のイメージしかなくなっていた。


 ようやくIE7が出てきたが、メモリの少ないWindows XPでは動作がおかしかったので、インストールした後すぐにIE6に戻したりもした。自分が知る限りでも、XPのままでIE7にアップグレードして使用しているケースはほとんど見たことがない。結局、IE7Vistaとの組み合わせで使うものなのだろうと納得していたが、そのVistaの普及が進まない。ということはIE7もあまり普及していないということになるのではないか。多くの、あまり積極的にPCに関心のないユーザ(当然Firefoxをわざわざ入れるというまでもない)は、いまだにIE6のままでというケースが少なくないと思われる。セキュリティ上は大いに問題があるところではある。


 さてMicrosoftはOSを新しくする前に、OfficeやIEを新しくする傾向にある。IE8は今年末出荷といわれるWindows 7に先行させたものと見ることもできる。現在のVistaにインストールしてもらって問題点を多く出してもらって、Windows 7には実質的にその修正を加えたものを一緒に出すという筋書きである。ただ欧州などではいまだにブラウザのOSへのバンドルが、独禁法に抵触することが問題視されているようであり、Windows 7ではIE8をインストールするかどうかのチェックオプションが付きそうだということではある。


 IEはこれまでシェアの上にあぐらをかいていたように思えるが、徐々にFirefoxにシェアを奪われつつある。それ以上に刺激的なことは宿敵のGoogleChromeでブラウザにも参入したことであろう。速度を重視していることもChromeの登場を意識していることと思われる。IEの地位が将来的に危うくなるとすれば、FirefoxよりもむしろChromeの方だと思えなくもない。現在のところのIEのシェアはバージョンがIE6に固定されたままのユーザによるものなのであり、先を考えれば決してIEの将来は明るいとはいえないだろう。