WBC第2ラウンド、日本キューバ破り生き残り

 韓国にばかり敗れている日本が、第2ラウンド生き残りをかけて、キューバと敗者復活の再度の対戦で完封勝ちを収めた。負ければ、今大会終了となるところを再びキューバを破り、これで決勝トーナメント準決勝進出が決まった。

日本、5−0で準決勝進出!キューバを完封(SANSPO.COM)

 前大会の決勝カードだったキューバ戦に2試合連続の完封勝ちとは、予想できなかった。1戦目の先発の松坂に、後がないプレッシャーのかかる楽天・岩隈のピッチングがすばらしい出来だったようだ。野村監督も内心喜んでいることだろう。昨シーズン21勝の実績はダデではないこともさることながら、ここ一番の精神力が発揮されたようだ。近鉄が消滅して楽天移籍時のゴタゴタやその後の怪我による不調を乗り越えて精神面が強くなったことが、この場面で発揮されたのかもしれない。


 さて第2ラウンドの決勝の結果に拘わらず決勝トーナメント進出は決まっているが、またしても4度目の韓国との対戦である。できればキューバにも決勝トーナメントに進んでもらいたかったが、こうなってしまっては仕方がない。前の試合は後味が悪すぎたので、次こそは韓国に快勝してほしいものだ。


 そこで結果的に試合数が多くなって、次の先発は誰か、もしやと思ったが巨人・内海と決まったようだ。おそらくキャッチャーも阿部を出すだろう。WBC監督に原監督が決まって選手の選考段階から、巨人びいきになるのではないかという批判もあった。ところが実際開幕してみると、巨人移籍前から国際試合経験のある小笠原はともかく、他の巨人からの代表選手の出番はほとんどない。メジャーリーガーは多少不調でも尊重し、他球団の選手はコンディション次第で臨機応変に起用し、巨人選手はどうやら初めからバックアップ要員にと、原監督は考えていたのではないかと思える。また巨人の選手だからこそ、原監督もバックアップを命じることができたのかもしれない。他球団の選手だと、負けた後に不協和音が生じかねないだろうし、所属球団からの不満も出かねない。北京五輪で、かつて自分の息のかかった選手ばかりの起用にこだわって、「それが私のやり方」と言いながら敗れた星野監督との違いを感じた。


 象徴的なシーンは韓国戦で審判を侮辱したとのことで城島が思わぬ退場を受けたが、その後の選手交代を原監督は笑顔で審判に告げに行ったということである。ストレスの溜まる試合展開のこともあり、どこかの監督ならば激怒して、続けて退場になりかねない場面である。指揮官として、ここは堪えどころとの冷静な判断だったのだろう。野村監督は「原は、真面目すぎるからな」と評していたが、こういうところは選手や周囲の人間は見ているものである。原監督なりの人心掌握術がうまく行って、キレずになんとかここまで生き残ってこれたのではないかと思える。


 さて今大会、あえてバックアップに回されて、リリーフどころか、やっと初登板の機会を与えられる、韓国でも人気があるとされる内海は、原監督の期待に応えることができるだろうか。