Google幹部の年間給与は1ドル

 オバマ大統領を激怒させたAIG幹部への高額ボーナス支給に対して、かたやIT企業の代表格のGoogleの幹部は年間たった1ドルしか受け取っていない。アメリカでも新旧企業の体質、文化の差を表している象徴的な話だといえよう。

グーグルのトップ3人、2008年の年間給与は再び1ドル(CNET Japan)

 もっとも、自分の会社からの年間給与1ドル支給は、スティーブ・ジョブズAppleに復帰したときから始めたことだろう。理由は忘れたが、0ドルでなく1ドルとしているのは、家族の社会保障のために最低限必要な額という法的なことだったと思う。今現在は入院していることを考えれば、本人や家族が医療を世間の人並みに受ける(手続きの上で)という意味では、やはり1ドルは受け取っておいてよかったと思うが、ジョブズのカリスマ性を支えているエピソードの1つではある。


 GoogleMicrosoftはともかく、Appleジョブズが嫌いとも思えないので、ジョブズの姿勢を模範にしたことは考えられる。AIGや自動車メーカーのように公的資金の援助を受けたわけでもないから、給与をいくら貰おうが勝手なはずだが、こうしたご時勢であると、その姿勢の違いがクローズアップされてくる。ここでもAppleの先進性と後発ながら市場を席巻したGoogleの立場がよく現れている?と思えてしまう。だからといって、膨大な資産を持っているであろうこれらの企業のトップが貧乏な生活をしているとは誰も思わないが、下手な広告やCMよりも庶民や社員に与える企業イメージへの影響は大きいだろう。まさに「たった1ドルでの広告効果」である。


 日本的には、昔の経団連会長の「メザシの土光さん」といったところだろうか。家で老夫婦2人だけでご飯にメザシの質素な食事をしている様子がテレビで放映されたことから、すっかり質素な生活をしている土光さんというイメージが定着した。当時の行政改革の中心人物だっただけに、今から見れば政治家とカネの対比として、無駄をなくする行政改革案に説得力を持たせるパフォーマンスとしての効果は抜群であっただろう。ただし、その後の実際の改革の実行は現在に至るまで、国民にはわからないウヤムヤだったかもしれない。こうしたトップの姿勢は、幹部ばかりがご安泰の人員削減ばかりでなく、今の不況脱出への企業の姿勢を表す効果はあるのだろうか。