初めて陽の目をみたワンセグ

 WBCでの盛り上がりの余韻がまだ覚めやらぬ感じであるが、ああそうかと思えたのが、WBC期間中の道行く人のワンセグによる観戦だった。ワンセグ携帯が国民的規模で役に立った初めての例になったといえそうである。

ワンセグがようやく陽の目をみる〜WBCでのワンセグ利用〜(CNET Japan)

 携帯の付属機能としてカメラは早くからあったので、デジカメなどを持って行かなかったときなど、とっさに「証拠写真」などを撮るのに利用する価値があるのは、すでに何度か経験上知っている。他にもGoogleマップやらGPSとかあるんだろうが、下手にPCやネットを知っていると、パケット料金が気になるサービスはなかなか気楽に使う気になれないのが実情である。


 そしてワンセグ機能である。パケット料金で痛い目にあったことがある自分は、ワンセグ付き携帯に乗り換えるときに、思わず「ワンセグってパケット料金はかかりませんよね?」などと窓口で確認したほどだから、ワンセグの利用には消極的だったことは確かである。


 またいくら携帯でテレビが見られるといっても、最初は面白半分では見ても、たとえば1時間ものドラマなどをあんな小さな画面でまともに見るような人はいないだろうと思っていた。そして1年半ほど経過したわけだが、WBCで初めてこんなに多くの人が、電車の中とか歩きながら数時間かかる試合をアンテナを立ててワンセグで見ている光景を目の当たりにした。WBCのテレビの視聴率が公表されているが、ワンセグでの視聴は数字に入っていないだろうから、それも含めた視聴率はもっと高くなっているはずである。


 同時に感じたことは、ドラマなどではありえなかっただろうということである。やはりリアルタイムで展開がどうなっているのだろうかというハラハラドキドキ感がある関心の高いコンテンツであったからこそ、まるで示し合わせたかのように、世の中の人がこれだけ同時にワンセグにアクセスすることになったのであろう。


 そして携帯というと、どうしてもネットのイメージが抜けないので、「ワンセグでパケットは・・」と反射的に考える自分だけに、放送局ではアクセスが集中してパンクしていないかとか、電波が混みあって受信しにくくなっているのではないか、などとナンセンスなことを考えてしまった。


 さて今回のWBCワンセグでの視聴は特別な現象とはいえるが、いままでワンセグをほとんど利用したり意義を感じることのなかった人たちにも「そうだ、ワンセグがあったんだ」と再認識させられたことになっただろう。自分もその1人であるが、特にテレビのリアルタイム性(生放送)を上手く使うサービスの可能性が出てくるように思う。ネット的にみれば、これだけ確実なブロードキャストはないわけだから、速報性、同時性が勝負のようなサービスへの活用が考えられる。もっともそういった利用には、番組の既成概念が強い地デジよりはCSなどの放送の方が向いているような気はする。WBCによって思わぬワンセグの可能性を感じさせられた社会現象であった。