IBMが「LotusLive Engage」を発表

 IBMクラウドサービスの一環として、コラボレーションスイートであるLotusLive Engageを発表した。すでに提供しているBluehouseが発展してのものといえそうである。

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 IBMクラウド参入は、あくまでエンタープライズ市場の顧客に対してのものというイメージが強いが、果たしてこのスイートもそうした顧客だけを想定しているのか、機能限定ながらフリーのユーザも取り込もうとするのか、実際のサービスが登場してみないと何とも言えない。Bluehouseは自分も一応組織名で登録してはいるのだが、まだテキストベースの会議システムという感じで、プライベートなことにも気軽に使うという感じではない。よりSaaS化された機能が増えても、これは変わらないかもしれない。名称にLotusを含むことからわかるように、IBMの目指すものはLotus NotesSaaS化、クラウドといえるのだろう。だがWebでのSkype機能との統合などの目新しさも感じられる。


 しかしそれがMicrosoftWindows LiveGoogle AppsZohoなどと対抗するものというには、少し方向性が違うのではないかと思わざるをえない。なぜなら、それらはオンラインOfficeがかなりの位置を占めているからと思えるのである。オンラインOfficeはZohoGoogle Docsが文書共有を売りにして始めたといえるが、Microsoftも対抗上、Officeの機能限定版をSaaS化してWindows Liveに統合している。


 一方、IBMOpenOffice.orgをベースにしたLotus Symphonyを提供している。しかしこれはデスクトップアプリのままである。近いうちにLotus SymphonySaaS版は出てくるのだろうか。そうなったとすれば、本当にMicrosoftGoogleZohoなどとオンラインOfficeを中心としたコラボレーションツールの主導権争いが激化することになるだろう。フリー版の登場を含めて、むしろそうなることを期待するところである。


 それを考えても、やはり気になるのはIBMのSun買収問題である。もともとOpenOffice.orgのベースになっているのは、SunのStarOffice(日本ではStarSuite)だからである。StarOfficeSaaS版が、Lotus Liveに含まれることになると予想されると、Officeの機能的にも優れたものが提供されることになるかもしれない。正直、従来のLotus Notesには、インターネットに乗り遅れたグループウェアのイメージしかなかったが、クラウド時代には斬新さを感じさせるサービスを、エンタープライズ向けに限定せずに提供してほしいものである。