Office 2010にはOffice Web Appsも登場

 次期Officeバージョンが「Office 2010」となることが発表された。出荷時期は、今年暮れにもとも言われているWindows 7と同時なのか、あるいは後になるのかは微妙なところである。

MS次期Officeスイート、「Office 2010」に--技術テストは第3四半期に(CNET Japan)
次期Officeは「Office 2010」、2010年前半に登場(ITmedia)
Office 2007 SP2は4月28日リリース ODFにも対応(ITmedia)

 ある意味、Vista以上に不評だと思われるOffice 2007だったが、Office 2010も結局は2007路線の踏襲となるだろう。不要と思われる、やたら大きなボタンとデザインメニューなど、初心者にわかりやすくしたつもりなのかもしれないが、長いOfficeユーザを混乱に陥れただけだったと思える。PCやネットに対してスキルの高いユーザは、とてもOfficeのエキスパートになりたいという動機は起こらないだろう、と思わせるには十分である。もう真面目に、オープンソースやオンラインOfficeを活用できる道を探ってみようという気になる。今の時代、多くはPDF文書であれ、Webで文書を配布する方が多くなっているからである。


 その意味では、Office 2010で注目は、Webベースの「Office Web Apps」の方であろう。なぜならこれまでオープンソースのOfficeにMicrosoft Officeの文書を読み込むとき、問題になるのはその互換性と書式の再現性であったからである。Office 2007 SP2でもODFに対応するが、書式を正確に再現することを保証するものでもない。ところがOffice Web Appsは同じMicrosoft Office間であるから、相互のファイルの完全な互換性は取れる「はず」だからである。Microsoftとしても、OfficeユーザがODF陣営に流出するのを阻止する狙いであることは確かだろう。


 ネットユーザの立場としては、MicrosoftだろうがGoogleだろうが、使えるものはうまく組み合わせて自分の目的に役立てる。その意味では、Office Web Appsが、Webで使えるから、Windows環境だけでなくLinux環境でも使えるようになることは有難い。逆に言えば、WindowsLinuxを併用する立場としては、互換性の立場からWeb版のOffice Web Appsだけで十分ということになる。下手にWindowsデスクトップ版のOfficeだけで文書を作ってしまうと、Linux環境では互換性がなくなりかねないからである。


 いよいよOfficeもSaaSの時代に入っていくことになるだろう。いや、そうせざるをえない状況である。そしてクラウドサービスの一部となる。いろいろ機能制限を設けて、なんとか有償のデスクトップ版をこれまでのように購入させようとするのだろうが、もはやそういうスタイルは受け入れられない時代となっていくかもしれない。